副業では「流通に乗せない」販路が大事。直売で利益2倍も。

こんにちは。先日乗車した新幹線が、まるっと一両、乗客が全部力士でした。
信夫です。

先日、サイドラインズをご覧になったマダムとお話する機会がありまして、その時にある相談を頂きました。「副業で自分の手作りのモノを売りたいけど、どうやって売ったら良いかわからない」マダムが売っているのは借りている菜園で作っているハーブを使ったハーブティだそうです。地元の施設とかにボランティアで納品していたのですが、非常に好評なのでもし売れるなら売りたい、とのことでした。

そこで今回は自分の手作りのものだったり、そんなに多くは作れないけど気に入ってくれる人にモノを売りたい!という悩みを持つ方向けに「こんな売り方・届け方があるよ!」っていう事例をご紹介していきたいと思います。

流通でモノを売るのは大変で、ムダも多い。

世の中で僕達が購入するモノの多くは、流通によって僕らの手元に届けられています。例えば青果の場合だったら、生産されてから消費者がスーパーマーケットで購入するまでの道のりの一般的な例はこんな感じです。

生産者 →

農協 →

卸売市場 →

小売店 →

消費者

生産者からお客さんの手元に届くまで、農協や卸売市場、小売店といくつかの流通経路を通ります。流通の仕組み自体は価格や販売の管理がしやすかったり、農協や卸(ここに書いていない組合や仲卸業者なども含めて)との関係基盤を強めておくことで、競合の参入を防いだりという効果もありました。販路の悩みは大きな企業でも同じで、大量のモノを売るには多くの人を巻き込んで自分の販路を盤石にする必要があったんですね。

一方で最近はこういった従来の流通の経路を通らない商品が増えてきています。ユニクロやニトリなどの企業はSPA(製造小売業)と言われる製販一体のビジネスモデルです。流通の過程で様々な関係者を経由する分、割高になってる部分を省いて(=全部自社でやることで)価格を抑えて消費者まで届けるモデルです。個人の副業レベルで「製造から販売まで全部やる」っていうとちょっと大変な気もしますが、現在は様々なサービスがあるので、思った以上にカンタンに始めることが出来るんですよ。

小規模小売や副業では流通に乗せない販路を持とう

ユニクロやニトリのような大規模な製販一体は無理でも、既存のサービスや仕組みを使うことで、従来の流通に乗せない販路を持つことが出来るようになってきています。流通に乗せるのに必要な大量の商品を継続的に生産する必要も無く、個人の副業レベルの生産量・頻度でも、お客さんに商品を届けることもできて、かつ利益も高い。そんな販路をいくつかピックアップしていきたいと思います。

メルカリ等のフリマアプリで気軽に行うCtoC(個人間取引)

ご存じの方も多いと思いますが、メルカリなどのフリマアプリはCtoCのプラットフォーム(商品や情報を集めたネット上の「場所」のようなものです)として非常に大きな市場を持っています。経済産業省が平成29年4月に報告した資料では、フリマアプリの市場規模は2016年時点で3052億円と言われており、2017年以降もさらに拡大しています。スマホの普及に伴い、自宅の不要なものを気軽に出品・売買出来るようになりましたね。

実はメルカリやフリルなどのフリマアプリでは、青果などの出品も可能です。

フリルでの青果の販売画面

フリルはいぜん、ファーマーズマーケットという農作物専用のフリマサービスも展開していました。現在は閉鎖しておりますがフリル本体では引き続き、農作物の販売が可能な状態です。

CtoCのビジネスは流通を通さない小売の形の1つです。販売者はメルカリやフリル等のネット上に出店・出品させてもらいます。モノを販売する時に手数料がかかるものが多いですが、消費者にモノを販売して届けるまでの過程で無駄な部分がかなり削ぎ落とされています。CtoC用のプラットフォームも多様化してきており、ハンドメイド・手作り・クラフト作品に特化させた「ミンネ」など個性的なサービスがどんどん登場しています。売りたいものに合わせて、どこのサービスを使うのが良いか考えてみるのも楽しそうです。

20万人の野菜好きにダイレクトに野菜を届ける「タダヤサイドットコム」

タダヤサイドットコムは野菜好きな会員20万人が登録しているサイトで、新鮮な野菜をダイレクトにユーザーに届ける仕組みを構築し、家庭菜園や兼業農家の方でも利益が上がるようにしています。ユーザーは気に入った野菜の抽選に参加して、当選するとタダでその野菜をもらえます。その農家さんから継続して野菜を購入したい場合には別途購入することも可能です。ユーザーからしてみれば、日本全国でおいしい野菜を作っている農家さんを探して直接購入にすることが出来ますし、生産者側の視点で見ると、生産量が少なかったとしても野菜を販売することが出来ますし、その野菜をユーザーに気に入ってもらえれば継続して売上を上げていくことも可能です。

流通に乗せない「地元」での売買なら「ジモティ」

「地元の掲示板♪ジモティ♪」というテレビCMをご覧になったことがある方もいらっしゃると思います。それがCtoCに「地元」の要素を掛け算したサービスのジモティです。ジモティはモノを販売する側も購入する側も、販売手数料は購入手数料などは一切かからないサービスです。特色としては、日本全国のエリア毎に出品されているものが分けられていて、必要なものを「地元で」探すことが可能です。このジモティで面白いのが、実は多くの出品がゼロ円で行われている点です。「家にある不要なモノを処分したいけど、アプリに出品するのは手間出し、売れるようなものでもないから、欲しい人にはタダであげます!」そんなスタンスの利用者が多いのか、家具・家電・衣類など様々なものがゼロ円で出品されています。地元に特化しているので、商品お受け取りは「手渡し」というのが多いのも特徴です。

ジモティはそれぞれの地元に特化しているので、自分の売りたい物を売れるだけではなく、イベント告知やメンバー募集なども行える非常に便利なサービスです。

流通に乗せないキャベツ1玉の利益が2倍になった国の試算例

2016年9月14日、農林水産省の骨太方針策定プロジェクトチームが、流通に乗せずに直売所で販売したキャベツは、流通に乗せた場合の販売価格よりも30円低く販売したとしても、利益額は2倍になる試算を発表しました。

販売価格が30円低くても、利益は倍になる

農林水産省が発表した試算例のPDF原本はこちら
図で見ると、流通経費がグッと抑えられて、そのまま生産者利益につながっていることがわかります。販売量や頻度に限界・バラつきがあるのは消費者から見たらデメリットかもしれませんが、生産者から見ると直売所での販売は非常にメリットが大きいのです。

市区町村主体の直売所の運営も

実は僕の叔母が東京で八百屋さんを営んでおり、隔週の土曜日(だったかな?)に荒川区近辺で地元山形で取れた野菜などを販売しています。ゴールデンウィークなどで実家に帰るとちょうど叔母さんも来ていて、近くの直売所などで安く野菜を仕入れて東京まで運んでいましたね。

東北のある市区町村では、自治体が主体となってその地域に住む農家さん(専業から家庭菜園レベルまで様々な農家さん)を集めて旬の野菜を提供してもらい、関東の直売所で販売するという取組みも行われています。ちょうどその職員の女性が知り合いで色々と話を聞いてみました。

実際に年間通して野菜の直売をしてみると、先程の国の試算例のように、利益が毎回2倍になるということは無かったようですが、それでも流通に乗せて市場に出すよりは生産者さんに多くの利益が回ったとのことです。生産者は市区町村に年会費を納めてその直売の企画に参加して、野菜の販売を職員に委託します。作物が売れた場合は3~5%ほどの手数料を払うシステムです。先程の国の試算では手数料が15%ほどでしたが、この直売所は自治体が運営主体となって行われ、主な目的は自治体の利益ではなく地元の作物の販路拡大なので、生産者にとっては非常にありがたい仕組みのようです。農作物の販路を検討している方は、お住いの市区町村にそういった企画や場所が無いか、問合せてみるのも良さそうですね。

ここで1つ、誤解しないで頂きたいのですがこれって「市場とか流通ってダメじゃん!農家さん搾取されてるじゃん!」っていう話ではありません。モノを大量に売るのって本当に大変で、市場はその責任を生産者の代わりに負っているという側面もあります。前述のように販路を盤石にするための仕組みでもあるのです。また、欲しいものがスーパーにいつでも並んでいるのは流通の仕組みのおかげですから、それが無くなると消費者としても困ります。直売所で売ると利益が倍だからといって、日本の全ての生産者がそれで豊かになるかというと、実際は売れ残りも多くあったりして、一概に良いことばかりではないですし、あくまでも個人が副業で何か売りたい時の手段の1つとして、流通に乗せない販路を持つっていうことを考えてみてくださいね。

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