副業から開業へ!日本一の激戦区でラーメン店を開業した同級生

副業からラーメン屋を開業

皆さん、ラーメンは好きですか?
僕もラーメン好きで週に2回くらいは食べてるんですよ。

ラーメンお好きな方はちなみに、どれくらい好きですかね?

毎日食べます?
3食ラーメンでも構わないです?
神棚に供えます?(笑)

美味しいラーメン食べたくて自分でお店やっちゃいます?

今回も実はまた僕のトンデモ同級生のお話でして(笑)
しかもなかなか身近にいない副業のお話を聞くことができましたよ~

ラーメン屋を独学の副業から始めて、
3年で開業、半年で繁盛店にした男がいます

こんにちは~サイドラインズのしのぶです。

今回も僕の同級生のお話なんですが、
今回の副業はちょっと特殊というか、結構ぶっ飛びな副業です。

それは「ラーメン屋」です。
独学の副業から始めて、実際に開業してしまいました。
しかもいまや繁盛店の一角となっているんです。
なんか、男のロマンを感じますね~

前述しましたが、そのラーメン屋の店主「土門氏」実は僕の高校の同級生で、
テニス部ではダブルスのペアを組んでいました(笑)

ではそんな彼の経歴からご紹介していきたいと思います。

「麺や 土門」店主 土門氏の略歴

「麺や 土門」の店主の土門くん。どうでしょう藩士

「麺や 土門」の店主の土門くん。お店はお休みでしたが取材にかこつけてラーメン作ってもらいました。

土門正寛。ガタイでかめ、態度控えめ、高校の時に比べて体重増し増し?山形県の遊佐町出身で、地元の町営団体の職員をやっていた頃から全て独学でラーメンを研究し、ラーメン屋を副業として開始。2015年6月についに独立し「麺や  土門」を開業。開業からもうすぐ半年ですが、今ではオープン前に行列のできる繁盛店になりました。

 

高校の頃は僕とダブルスのペアを組んでいて、ダブルス時に彼の渾身のフラットサーブが何度僕に直撃しようともフルスイングを止めないキチナイスガイ。右利き。バックハンドは片手。名言は「ラーメンよりパスタの方が美味いの作れると思う」

元々料理好きだった土門氏。学生の頃から自炊をしていて、時間のある学生生活で、手の込んだ料理を作るようになった。マンガ「バンビーノ」にハマり、料理本を買い込み、最初はイタリアンにのめり込んでいったそうです。そうして生まれた名言「ラーメンよりパスタの方が美味しいの作れると思う」は、本来この記事にはあってはならない名言だが、これは載せざるをえない。

副業でラーメン屋を始めたキッカケ

初めてラーメンを作ってみたのは学生の頃でした。ラーメンが好物で、自分で作りたくなってしまった土門氏は、鶏ガラ、醤油、みりん等を近所のスーパーや精肉店から調達し、自分の知識と勘だけで作ってみました。

初めてのラーメン。渾身の一杯・・・!

スープをズズッ・・・!

<●><●>カッ!!

美味くねぇ!!!!

今の彼のラーメンからは考えられないほどの不出来で「もう作らねぇ、ちくしょうめ」と思ったそうですが、それからもたまにラーメンは作っていたそうです。元々無類のラーメン好きだったので、今年の3月まで働いていた町営団体の職員の仕事で東京に出張に行った際には、仕事の合間を縫って好みのラーメンの食べ歩きをしていたそうです。

しかし秋から冬にかけては、東京の出張も無くなり、大好きな二郎系ラーメンを食べられなくなってしまったそうです。僕らの地元である酒田市には残念ながら二郎系のラーメンはありません。「無いなら作ろう」そう思った彼は、またラーメン作りに精を出すのでした。

食べ歩きをしながら味や素材の研究に余念が無かったこともあり、どんどん自作のラーメンは美味しくなっていきました。ラーメンを作り始めて1~2ヶ月たった頃(1~2ヶ月と言っても、本業は団体職員の仕事があり、毎日なんてとても作れず、1ヶ月に1回とかの趣味のペースで作っていたそうです)町役場の職員の方々に自分のラーメンを食べてもらう機会を作ったそうです。町役場の職員の方々の中にはラーメン好きが多く、スープを自作するような人もいたとか。

実際に自分のラーメンを食べてもらうと、「結構美味い」との評価をもらい、そこから1年間くらい、1~2ヶ月に1度のペースで、ラーメンオフ会としてラーメンをみんなに振舞っていきました。そのうち、「内輪だけでやるのはもったいない」との嬉しい声ももらうようになり、調子に乗って「ラーメン屋やろうかな」とぼんやりと考え始めたそうです。

 

実際に副業をどう始めたのか

いざ副業でラーメン屋を始めようと思っても、なかなか簡単に始めることは出来ないですよね。土門氏は実際にどう始めたかというと、不定期開催のイベントとして始めました。同じ地元のカレー屋さんに相談し、2~3ヶ月に1度、日曜日にカレー屋さんを休んでもらい、その店を丸々借りてラーメン屋を出店させてもらえるようにしたのです。カレー屋さんのご主人とは本業の仕事を通じて知り合ったそうですが、実は誕生日が同じだったり、趣味が一緒だったりと何かと共通点が多く話が合ったそうです。そんな縁にも恵まれて、カレー屋さんの店主さんにガス代として売上の1割を場所代として支払うことで、副業のラーメン屋の開業にこぎつけました。始めた当初から、しっかりとお金を取る副業としてスタートさせました。
副業のペースは2ヶ月に1回、忙しい時は3ヶ月に1回。本業としてお店を出すまでの2年弱、そのペースで副業を続けていました。

副業でラーメン屋をやる大変さ

ラーメンの味の追求

ラーメン屋のイベント開催の1週間前から準備を始めるのですが、副業でのラーメン屋とはいえ、プロはプロ。お金をもらっている以上はお客さんに満足してもらえるように努力を重ねたそうです。
自分が理想とするラーメンの味は当時からあって、それに近づけようとしたそうなのですが、時間とお金に制約があり、しかも独学で始めたので知識やノウハウの土台もない。その中で少しでも理想に近づけること。これが当時の一番の大変さだったそうです。味に関して研究や準備はしているものの、お客さんが自分のラーメンを美味しいと感じるかどうかは一発勝負で、美味しくなかったら次は来てもらえなくなってしまう。その前提でラーメンを作っていくというのは、相当覚悟の要ることですね。

お店としてのオペレーション

ラーメン屋として運営するにあたって、大事なのは味だけではなく、お店のオペレーションも非常に重要になってきます。ラーメンを作る以外にも、注文取り、配膳、会計、下膳、皿洗いなど、お店を回す上で欠かせない仕事は多いんですよね。副業なのでこれらの作業をこなすのは自分と、臨時で手伝いをお願いしている友人達です。これらは飲食店として基本的なことですし、覚悟はしていたそうですが、実際にやってみると、その大変さが痛感できたそうです。

副業の頃のラーメンの売れ行きは?

2年弱の間、2~3ヶ月に1回のペースで副業のラーメン屋を続け、赤字になったのは1回だけで、ほかは全部黒字になったそうです。1回の開催で大体お客さんの数は40~50人、少ない時で20人~30人ほど。宣伝に使ったのは麺や土門のFacebookページや、店の場所を借りているカレー屋さんのFacebookページのみでしたが、回を重ねるごとに口コミで広がっていき最終的には70人位のお客さんが入るようになりました。2~3ヶ月に1回の不定期開催で、これだけの人数が入るのは凄いですよね。

ラーメンてどれくらい利益出るの?

ラーメンの原価率は、自家製麺の場合20~25%、製麺屋から麺を仕入れる場合は30~35%と言われています。これはスープの状態や、スープ自体が濃厚か蛋白かで全然変わってくるそうです。土門氏のところも35%いかないくらいとのこと。ちなみに日本一のラーメン屋だと、原価率は40%を超えるそうです・・・!原価率がこれだけ上がってくると、経営としてはかなりリスクが増えてきます。利益率が落ちるので、お客さんをたくさん回せるお店じゃないと、キャッシュフローがすぐに焦げ付いてきます。これは超人気店だからこそ出来る攻めのラーメンですね~。

「副業」から「開業」へ

ラーメン屋の副業を始めて1年が経った頃、これを本業にしようと心に決めたそうです。土門氏のお父さんは会社を経営していて、そこに入るという選択肢もあったが、後から後悔しない選択肢を考えた時に、ラーメン屋をやる決意をしたとのこと。
ラーメン屋オープンの4ヶ月前から、銀行に相談をして資金調達の準備と開店する店舗探しを進めた。ラーメン屋の店舗を探すにあたって一番条件が良いのは「居抜き」といって、前のお店の設備をそのまま使える物件です。酒田市近隣の場合、居抜きの店舗では諸々の設備投資も込みで300万、居抜きではなく完全にまっさらな店舗から始めると諸々込みで500万ほどかかるそうです。土門氏の場合、運良く今入っている店舗の空きに当たり、見事店舗を押さえることが出来た。ちなみにそのお店は、僕らが通っていた高校のすぐ近くで、馴染み深い場所でした(笑)

実は山形県は日本一のラーメンの激戦区

実はあまり知られていないかもしれませんが、山形県は日本で一番のラーメンの激戦区です。「家計調査 都道府県庁所在地および政令指定都市部ランキング」(二人以上の世帯。平成21~23年分を平均で算出)によると、外食代のうち、「中華そば」に対する支出が一番高かったのは山形市で1万2061円/年と、全国平均5625円の2倍強もあります!
また、人口10万人あたりのラーメン店の件数は36件と、2位の栃木県の29件に比べても大きく差を開けてのダントツです。県民全体がラーメン好きで、しかもラーメン屋の件数も人口の割に非常に多いんですよね~。確かに僕も小さい頃から、ラーメンはご馳走のような感覚がありました。家にお客さんが来た時には、ラーメンの出前を取るようなことも珍しくありませんでした。その中で新規出店するっていうのは、結構勇気いりますね~。

いざ開業

発注した麺

発注した麺。ワシワシ感のあるストレート麺

2015年6月「麺や土門」はオープンし、土門氏のラーメン作りは副業から本業に変わりました。ラーメン作りという本質は変わらないものの、副業だった頃と比べて変わったところは多いとのこと。
まず、毎日営業をするということは、毎日仕込みをしなければいけないということ。材料を多く仕入れても、次に持ち越しが出来るようになったのはありがたいものの、仕入れできる材料が毎回安定しているとも限りません。価格も変動していきます。その中でも毎日同じラーメンを提供しているっていうのは実は凄いことなんですね~。

オープンから5ヶ月で繁盛店へ

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豚骨をじっくり煮込みます

土門氏のラーメンは、彼が好きな二郎インスパイアです。二郎に比べると、いくぶんマイルドになっていて、個人的には凄く美味しいんですよね~食べてから一定期間すると、また食べたくなる味です(笑)今ではオープン前にお客さんが並び、毎日来てくれるお客さんもいるといいます。
実際にこの取材をしたタイミングはちょうどお昼すぎで、お店は休日で閉店はしているものの、僕らがいるのでお店の電気はついている状態です。この日が休日と知らないお客さんが次から次へとお店にやって来て、その度に土門氏は「今日休みなんです~もっけです」と言っていました。この繁盛の要因を土門氏に聞いてみると、味以外にも立地がかなり大きな要因になっているとのこと。確かに麺や土門のある通りは、酒田市の中でも車通りの多い場所にあります。また、近くには高校や郊外型のショッピングモールもあり、比較的若い人が集まりやすいところでもあります。週末の忙しい時は1日90杯もラーメンを作ることがあるとのこと。ちなみに麺や土門はお昼の数時間しかオープンしていないので、これはかなり凄い数字ですね。回転率自体はまだまだ良いとは思っていないそうですが、経営する上での最低限の客数は開店当初から余裕でクリアできているそうです。

 

味と経営の折り合いをつける

スープの仕込み。にんにくや生姜などいろんな材料を加えて煮込んでます

タレの仕込み。にんにくや生姜を入れて煮ます

お店の船出は前途洋々といったところですが、土門氏としては折り合いを付ける難しさを感じていることがあるそうです。それは「味」と「経営」の折り合いです。関西のラーメン屋ではよく見る「九条ねぎ」ってありますよね。たまたま酒田の近くでネギフェスタという催しがあって九条ねぎを土門氏が仕入れたらしいのですが、自分が普段使っているネギとの違いに驚いたそうです。「香りはあるのに、ネギ独特の辛味が無く、むしろ甘い。」ラーメン屋が九条ねぎを使いたがるのにはそれなりの理由があったんですね。土門氏も九条ねぎを仕入れたいと思ったのですが、九条ねぎは京都のねぎで、仕入れをしようと思ったら、送料も計算に入れ、その送料を考えると、ある程度まとまった量を仕入れしなければなりません。そうなってくると、ラーメンの値段にも影響が出ます。

いろんな具材が入ったスープ

先ほどの豚骨でとったスープ

これはネギに限ったことではなく、ラーメンに関わる全ての材料に言えることで、たとえ確実に美味しいラーメンが出来上がるとしても、その分ラーメンの値段が上がってしまってはダメで、商売として行う以上はラーメンの美味しさだけではなく、全ての適正値で勝負をするしかないということです。この悩みは尽きることはなく、ラーメンを食べ物としてだけでなく、自分の生きる道として選んだ人が追求していかなければいけない道ですね。

 

これからのこと

麺や土門では、この11月から、週末限定で夜営業を開始しました。メニューも昼間とは全くことなる、ホンビノス貝という貝を使った「貝そば」。これまた美味しそうですが僕はまだ食べたことがありません(笑)ですが食べたことのある人の感想は上々のようです。土門氏としてはまだまだやりたいことがあって、色々試してみたい味があるそうです。前述の折り合いの難しさや、時間の制約があって思うように進まないこともありますが、それでもラーメンを作っている土門氏は非常に楽しそうでした。

今回最大の学びは「覚悟すること」

今回は副業というにはちょっと変わった「生き方」のお話となりましたが、全体としては、土門氏の「覚悟」に関して、凄く良い話を聞かせてもらったなと思います。実は彼には結婚して奥さんがいて、しかも今年にかわいい長女が産まれました。そうなると、一家の大黒柱として、もはや失敗できる余裕は無いですよね。

僕は彼が副業としてお店を出している頃から何度も話を聞かせてもらっていますが、「失敗できる余裕を作らないこと」「退路を断って覚悟を決めること」「ラーメン屋で成功すると決めること」彼はこの3つを決めて、自分が身を置く環境を自分で作っているんですよね。だからこそ、独学で努力を重ねて、実際に美味しいラーメンを提供し続けることができているのではないかなと思います。

それでも悩みはあります。話を聞いていても、「もっと美味しいラーメンを作りたい」とか「値段を上げずに美味しいラーメンを作りたい」「もっといろんな味に挑戦したい」とか、色々あるんですが、副業の頃からの悩みも含めて、すべてが上記の覚悟を前提とした悩みなんですよね。後ろに戻ることを考えてない。頼もしい。

彼とは高校時代最後のテニスの大会で地区大会を勝ち進み、おかげで個人団体共に県大会まで出れた間柄なので、ぜひこれからも頑張って欲しいです。

最後に美味しいラーメン頂きました

麺や土門の看板メニュー「豚そば」

麺や土門の看板メニュー「豚そば」。美味い。

この取材をした日は、店は休みだと事前に聞いていたのです。しかし取材自体は店で行わせてもらえることになっていたので、万が一、土門氏がラーメンを作ってくれることを期待して、お昼ごはんを食べずにお店に行ったんですよ。取材の冒頭でも「万が一!ラーメン作ってくれたら失礼になると思って!万が一ね!飯食ってないんだよね!」と念入りに断りを入れて取材を始めたのですが、さすがに見かねた土門氏が、特別にラーメン作ってくれました!(笑)副業ではなく本業としてお店を出してから食べさせてもらったのはこれで2回めでしたが、前回よりも美味しくなっていました。これは酒田には無いタイプのラーメンで、また食べに来たくなっちゃうんですよね~

 

忙しい中時間を作ってくれてありがとう!また年末年始に食いに行くぜ~!

■「麺や  土門」

麺や  土門のフェイスブックページ

 

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