会社員からライブハウスの店長へ。複業音楽家の音楽への思いとは

サイドラインズ、ライターの宅野です。
皆さんの町にライブハウスはありますか? 宅野が住む東京には、あちこちにライブハウスがあります。会場の規模もジャンルもさまざまで、毎日どこかで誰かが音楽を奏でています。
そういう意味では、音楽活動をするにおいて、東京はライブハウスに事欠かないと思います。

しかし、地域によってはライブハウスがないところもあるのだそうです。この事実を知った時、正直、驚きました。
ライブハウスがなければ、どこで生の音楽を聴くのよ? ミュージシャンを目指す音楽少年・少女はどこで演奏したら良いのよ?
「どこにでもライブハウスはあるものだ」と完全に思い込んでいた私にとって、「ライブハウスがない町がある」という事実はカルチャーショックの何者でもありませんでした。

今回、お話を伺った志村翼さんの住む町もライブハウスがない町でした。しかし、その状況を打破したのが志村さんなのです。

富士宮にライブハウス「AERA」が誕生するまで

富士宮 AERA LIBE HOUSE ライブハウス

「AERA」とはラテン語で時代という意味。 次の時代に音楽を繋げたいという意味を込めて、クラブとしてスタートする時に名付け付けられたこの名前は、ライブハウスになってからも継承するそうです

 

前回の記事「製造業で働く会社員とドラマー、二つの顔を持つ複業音楽家」の最後で、ライブハウスの店長になると教えてくれた志村さん。志村さんが店長を務めるライブハウスの名は、「AERA」。

たくの

志村さんが「AERA」に携わることになったのは、何がきっかけなんですか?
もともと、知人がクラブを経営していて、それが『AERA』だったんです

志村さん

たくの

へー! 「ライブハウス」ではなく「クラブ」だったということですか?
はい。それで、僕がバンドのブッキングなどを頼まれるようになったんです

志村さん

たくの

なるほど。クラブで演奏するバンドを探す、みたいなことですよね
富士宮には、ライブハウスがなかったこともあって……

志村さん

たくの

そっか、ライブハウスがなかったんでしたよね。だから、高校時代の志村さんが演奏する場所は学校でのイベントがメインだったんですよね
はい。だけど、やっぱり不便というか、どうにかならないかなという思いもありまして。演奏する場所がないと、音楽をしたい人たちもどうしたら良いか分からないかなと思って

志村さん

たくの

確かに、ただ部活で趣味程度にやるならともかく、本気でミュージシャンを目指す人たちにとっては、自分の住む町にライブハウスがないのはツラいですよね
そうなんです。だから、『AERA』が、バンドが演奏できる場所になるのは良いことだと思いました

志村さん

たくの

なるほど!それが、志村さんが「AERA」と関わることになった出来事なんですね?
はい

志村さん

たくの

(もともとあったクラブがライブハウスになる。演奏する場がなければ、作れば良い。考えた人もすごいけど、期待に応えられる志村さんもすごい! それだけ、音楽に対する熱い思いがあるのだな……)じゃあ、「AERA」で自身のライブなんかもしたんですよね?
いや、実はライブハウス経営中は音楽活動を休止していました

志村さん

たくの

え! なぜ?
うーん、やっぱりライブハウス経営と音楽活動の両立が難しくて。その時はライブハウス経営に絞りました

志村さん

たくの

なるほど。確かに何かを経営するって大変ですもんね……
それで、しばらくしてから「AERA」を離れました

志村さん

たくの

ええっ!?(さらっとすごいこと言ったよ、志村さん!)

常に「AERA」には自分が存在していた

富士宮 AERA LIVE HOUSE ライブハウス

AERAはフロアもとても広く、全面使うと300人程度収容可能とのこと

 

たくの

なんでまた、「AERA」を離れたんですか?(『AERA』に対する思い入れも強いはずなのに……)
いや、家族ができて稼がなきゃと思ったんですよね。ライブハウス経営って、経営するだけで大変なので……

志村さん

たくの

あー、そういうことだったんですね。(男の責任ってヤツか。うーん、志村さんの気持ちも分からなくはないけど。難しいな)
それで、一旦「AERA」を離れて製造業の仕事に移ったんです

志村さん

たくの

「AERA」に対する未練はなかったんですか?
離れたといっても、ちょこちょこ出入りはしていましたから。それに、『AERA』を離れても、自分の存在を感じることができたんで

志村さん

たくの

自分の存在を感じる?
『AERA』に顔を出すと、その場にいるスタッフや顔見知りの方がライブハウスの近況を教えてくれるんですよ。 中には、『昔、こんな人がいてねー』って感じで、僕のことを話してくれる人もいたらしくて。今、自分は『AERA』にいないけど、ちゃんと存在しているんだなって思えました

志村さん

たくの

そんな風に、自分の知らないところで語り継がれているのは、なんかくすぐったいですよね。それだけ、志村さんが「AERA」に貢献したということですよね
そうなんですかね

志村さん

たくの

(そうなんです!)
まあ、僕が抜けた後に来た店長とも交流を図っていましたしね

志村さん

たくの

「AERA」を離れてから製造業でお仕事されていたということですが、音楽以外の仕事をすることで大変なことはありましたか?
いえ、製造業を始める前にもガソリンスタンドとかでバイトをしていたこともあるので。逆に、『ここまで作れば今日は終了!』って仕事の段取りがしやすいので楽しくやっていました

志村さん

たくの

それは良かった!
それに、工場で働いているスタッフの中には、夢を追っている子もいるんです。気持ちが分かるだけに、後押ししたくなります

志村さん

たくの

(すごく前向きで、すごく優しいステキなお兄さんだ……)

「AERA」を表現したい人が表現できる場所へ

富士宮 ライブハウス LIVE HOUSE AERA

志村さんが所属する「THE MENDRIDS」の初ライブの様子 @AERA ドラムを叩いているのが志村さん

 

たくの

古巣でもある「AERA」の店長に復帰したら、何をしたいですか?
若い子を中心とした音楽を始めたい人たちに貢献したいです

志村さん

たくの

音楽を始めたい人たちに貢献?
音楽人口が減っているなんて話もありますけど、音楽をやっている人はちゃんといるんですよ

志村さん

たくの

あー、まあ、そうですよね
そういう人たちが活動する場所として、『AERA』を使ってほしいですね。富士宮にはライブハウスが少ないこともありますし

志村さん

たくの

音楽活動をする場として活用してほしいということですね
音楽もですけど、ダンスイベントなんかもやってみたいですね。なんていうか、表現したい人が思う存分に表現できる場所にしたいです

志村さん

たくの

なるほど!(東京では当たり前にある光景でも、地方だとそうでもないことがあるのか……。表現者を育てるライブハウス、なんか良い響きだ)
以前はライブハウス経営に集中するために音楽活動を休止したとありましたが、今回は両立を目指すんですよね?(強引)
そうですね、やっていきたいですよね

志村さん

たくの

「THE MENDRIDS」もありますしね
そうですね(笑)父親でも田舎でも副業でも、バンドやれるぞ! 表現できるぞ! ってとこを自ら率先して体現していきたいです

志村さん

THE MENDRIDS の初ライブの映像がこちら↑↑

たくの

音楽活動とライブハウス経営、どちらを本業にして、どちらを副業にしようとかって考えていますか? それともどっちも本業ですかね?
うーん、どっちが本業というかは今、目の前にある仕事が本業っていう意識ですかね。ライブハウス経営をしている時は店長、バンドの時はドラマー、どっちも職務として全うするイメージです。仕事って司るものだと思いますから

志村さん

たくの

サブでやる「副業」ではなく、マルチタスク的な意味での「複業」なんですね
そうですね。ライブハウスもバンドも、両方しっかりやりたいと思います

志村さん

たくの

家族サービスもしてくださいね(お節介)
もちろんです、大丈夫です(笑)僕を含め、同世代の仲間も小さい子供がいる家庭を持つ父親や母親が多いので、AERAはそんな子供たちも音楽が楽しめる場にしていきたいと思います!

志村さん

「『AERA』が音楽をしたい人たちの間口になれば」と語る志村さん。お話を聞いていると、とにかく音楽への思いが強い方だなと思いました。富士宮の「表現したい」人たちのために。そして次世代を担う子どもたちのために「AERA」を盛り上げていってください!!

志村さんが2018年10月から復帰し、本格的に始動準備を開始する富士宮のライブハウス「AERA」。

富士山の麓で音楽を奏でたい方、聞きたい方、踊りたい方などなど……

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店長就任前の現在も、水面下で改修工事をしているそうですよ。
最新の様子がわかる3D映像がこちら↓↓

AERA on 3D

「富士山」と「音楽」というキーワードにピンと来た方は、ぜひ足を運んで見てください。

サイドラインズ、ライターの宅野でした!

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