こんにちは。サイドラインズの信夫です。
前回の記事「副業としてアリかも。ワニの養殖の視察に行ってきました。前編」ではワニ養殖の可能性に関してご紹介していきました。今回は逆に、個人がワニの養殖を行うにあたっての課題をいくつか感じたのでご紹介していきたいと思います。実はワニの養殖に関しては2018年1月にカンボジアにも視察に行ってきまして、その様子なども踏まえてご紹介していきたいと思います。
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ワニの養殖を見にカンボジアまで行ってきた
2017年11月には香川でワニ養殖を行っている団体にお話を伺いに行きましたが、翌年の2018年1月にカンボジアのワニ養殖施設を視察に行ってきました。視察といってもガイドや現地のスタッフと話をしてきたわけではなく、単純に養殖場を見学させてもらっただけなのですが、そこでも色々感じたことやわかったことがあります。
ワニ養殖場はシェムリアップからトゥクトゥクで20分
カンボジア自体は観光で行ってきたのですが、ワニの養殖が盛んだということを耳にしました。宿泊地のシェムリアップの近郊でもワニの養殖が行われているとのことだったので、観光がてらトゥクトゥクで見に行ってきました。カンボジアでは普通の民家が並んでいる通りの一角でワニ養殖が行われています。シェムリアップの中心地から20分位で到着しました。元々行く予定だったワニ養殖場がメンテンナンス中で見れないとのことで、ホテルの方に相談したところ「それなら他のところを見に行けばいいよ!」とおっしゃってたので、そんなに大きくないシェムリアップ内でも何軒かワニ養殖をしているのだと思います。
今回見せていただいた養殖場は「VLクロコダイルファーム」というところで、養殖場全体の広さはテニスコート3~4面分くらいの広さでした。ワニはサイズ毎にエリアをわけられて飼育されています。
ワニの養殖場と言っても、カンボジアの一般的な家の裏庭みたいなところにありました。入ってすぐのところには砂場もありました。ワニは卵を砂地に埋めるらしく、ここは産卵場所なのかなと思います。今回はそこにはワニは一匹もいませんでした。
まずは比較的小さいサイズのワニのエリアです。おそらく2m前後のサイズ。(もっと小さい、40~50センチ程のワニのエリアもあったのですが、写真を撮り忘れてしまいました。)日本ではこのくらいのサイズで出荷され始めると聞きました。
そしてこちらがでかいワニ達。3~4mくらいですかね。ご覧頂いてわかる通り、成長するにつれてすし詰め感が増して行きます。この画像なんてもう、さながら8時台の山手線かなって。
香川の視察では、寒い中を必死に生き抜こうとしている2匹のワニを見ましたが、カンボジアのここのワニはもう、なんか無でした。虚無。ワニ達は活発に動き回るわけでもなく、ちょっと暑いときには口をかぱーと開けて体温調節をしています。あとはたまに水の中に入ってじーとしています。
ここまですし詰めになっていると気になるのが、お互いの爪で傷ついたりしないのかなっていうことですね。この画像の中でも背中に傷があるワニが何匹か見て取れます。ワニは生命力が強くて体にできた傷も数日で治ると聞いていますが、それでも最終的に革になる時に跡が残っちゃわないのかなって少し気になりました。(後述する「ワニ革の質」に影響が出そうです)
加えてもう1点気になったのが、施設を一通り見て回ったのですが水温調整とかどうしてるのかなって疑問がありました。しっかりしたところだと、雨季の雨風で水温が変わってしまった時に調整するためにボイラーを導入しているところとかもあるらしいんですよね。雨季だと日照時間が少なくなるので、その時はワニの体温も下がりがちなのでそれを調整する必要があるそうなのですが、それらしい設備はなさそうでした。
養殖場の隣にはワニ革製品を扱う広めのお店がありました。店内は撮影できませんでしたが、お昼の12時前後で結構な人が居ました。20人くらいですかね。その後も中国人風の観光客がバスで来ていました。ちなみにワニ革製品はワシントン条約で輸入が禁止されているので、日本は海外でワニ革製品を購入しても持ち込めません。(ワニ自体は許可を貰えれば可能)中国もワシントン条約加盟しているけど買って帰れるのかな?
ちなみに、お店ではワニ革製品以外にも「エイ革」の製品も扱っていました!エイ革ってガルーシャっていうらしいです。
養殖ワニの革の価格のつけられ方
ワニの養殖をする上で予め知っておきたいのがワニ革の価格ですよね。ワニ革の価格がどう決まるかというと「革の質」×「規格幅」で決まっています。規格幅というのはワニのお腹のサイズのことで人間で言うところの「ウエスト」です。そのサイズが30センチから5センチ刻みくらいで規格幅が決められていきます。(例えば30cm未満、30cm~34cm、35cm~49cm)規格幅が大きくなればなるほど、基本的には価格は高くなる傾向があります。大きい革の方が加工の自由度が高く、作れる品物の幅も広がるから高くなるんですね。そしてさらに革の質によってさらに値段が変わってきます。
ワニ革の価格を左右する「革の質」
バッグ等のレザー製品に加工されるワニ革は、そのものの質によって大きく価格が異なります。革の表面のうろこの形が整っているか、全体的にバランスが取れているか、穴が空いていないか、傷や汚れ・シミなどが無いか等の観点でチェックされて、大きくⅠ~Ⅳの4つのランクにわけられて価格が付けられるそうです。(ランクの付け方は店ごとに異なります。)革のランクと規格幅での価格の決まり方のサンプルをいかにまとめてみました。※あくまでもサンプルですので、実際の価格とは異なります。
ランク | ||||
規格幅 | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ |
30cm未満 | 2,300円/cm | 2,000円/cm | 1,500円/cm | 1,000円/cm |
30cm~34cm | 2,500円/cm | 2,200円/cm | 1,700円/cm | 1,200円/cm |
35cm~39cm | 2,700円/cm | 2,400円/cm | 1,900円/cm | 1,400円/cm |
40cm以上 | 3,000円/cm | 2,800円/cm | 2,600円/cm | 2,100円/cm |
例えばランクⅠで規格幅が43cmだった場合は、ワニ革1cmあたりの価格は上記の表の黄色に塗りつぶした価格となります。3,000円×43cmなので129,000円ですね。これでいわゆるお腹周りの革の価格なので、頭、しっぽ、手足となるとまた別に価格が付くことになります。
カンボジアはワニ養殖に向いている
養殖場を一通り見て回りましたが、カンボジアでワニの養殖が盛んな理由がなんとなく見えてきました。カンボジアの平均気温は年間通して最高気温32~33度、最低気温が23~24度と非常に温かい気候です。ワニは変温動物で体温を維持するには周囲の温度が非常に重要です。温度が低いと食べ物を食べても消化不良ですぐに死んでしますので、年間通して温度が安定的に高いというのは非常に重要なんですね。平均気温が高いからこそ、ワニも育ちやすい環境なんですね。
日本で副業でワニ養殖をする上での課題
カンボジアを始め、ベトナムやタイなど平均気温が高い地域ではワニの養殖が盛んです。気候的に育てやすいからなのですが、そう考えると、日本で個人が副業でワニ養殖をやろうと思うと、いろいろな課題が浮かんできます。そもそもちゃんと育てられるのかとか、たくさんのワニを管理できるのかとか、そういった問題はどこでも起こりますので、今回は日本で特にぶつかりそうな壁を考えてみたいと思います。
ワニ養殖の課題 気候
熱帯モンスーン気候で年間通じて気温の高いカンボジアに対して、日本は寒すぎます。年間の平均気温23度の沖縄とかであれば、気候的にはまだやりやすいかなと思いますが、養殖をするにあたって、気温が20度を下回ったら暖房が必要になります。またワニは太陽光の少ない場所や、カルシウムをあまり摂取できない環境だと骨がもろくなったり歯が抜けてしまうそうです。日照時間も確保しなければならないので、その点でも日照時間の少ないエリアは不向きかもしれません。
ワニ養殖の課題 販路開拓
気候よりも実はこちらの方が結構大変そうですね。ワニ肉にしても革にしても販路開拓はかなり大きく大阪の豊中市という地域ではワニ肉を町おこしに使っていますが、やはりまだ一般的ではなくワニ肉の販路開拓は副業で行うには大変そうかなって思います。頭数がいないとまとめて卸すとかも出来ないですしね。
ワニ養殖を副業で始めるには「オーナーになる」ことから
色々と課題もありますが、それでもやはりワニの養殖、気になります。そこで今回は自分でワニの養殖をゼロから始めるのではなく、ワニの「オーナーになる」ところから始めてみようかなと思っています。前の記事でご紹介した喜望峰さんのご厚意で、2匹のうち1匹のオーナーにして頂けることになりました!オーナーとして出資させて頂いて、育ってきたタイミングで販路を一緒に探していくことになります。ワニを育てたこともないですし、育てられる環境も無く、かつ出来るだけ小さい規模で始められればと思っていたので、「オーナーになる」という選択肢を取れるのは非常にありがたいですね。
ということで今後はワニの様子も随時ご報告していければと思いますので、引き続き何卒よろしくお願い致します!
こんなビジネスに参入を考えているなんてなんてすごいですね!
ワニ革製品が安く買える日が来ますね。
shinoブランド製なら僕も購入します!
面白いですね
ワニのオーナーになるのは大体1匹何円で、約何年でどれくらいの利益が見込める感じなのですか?