こんにちは! SIDELINESのMyoon(ミュン)です。
フリーランス芸人として静岡を中心に活躍する「ダムダムおじさん」の石井秀明さん(右)。
芸人としてテレビで活躍しているほか、家族を養うために副業もしています。
前編ではコンビの結成秘話から、フリーランス芸人となった経緯までを伺いました。
前編はこちら↓
「ダムダムおじさん」のフリーランス芸人という生き方
後編では芸人の副業事情について伺っていきます。
ところで今回は、バリ風居酒屋で飲みながら取材させていただきました。
ネタが面白くても成功のレールに乗れない時代
関西出身の筆者は一発芸よりも漫才が好きです!
そう話したところ、一瞬ニヤッと嬉しそうな石井さん。
ネタ作りは30時間かけても満足できるものが出てこないことがあるほど、毎回難産なのだそう。それでも、芸人として大事に続けていきたいと語ります。
「ダムダムおじさん」のネタの作り方を、商業ビルに例えて教えていただきました。
まず、「こんなビルを建てたい」という設計図をお互いに出し合います。そして、実際に建築するのが相方の二村さん。その課程で「2階の部分はこう見せたい」「こんな店舗を入れたらどうだろう」などのアイデアを出し合って、完成させていきます。
このように苦労して作り上げるコント。
芸人としては、ネタひとつで勝負したいところですよね。
しかし、笑いだけでは評価されない時代になってきたと感じているそう。
「シェフなら料理の腕で勝負できますよね。最近のお笑い芸人は、笑い以外に何ができるのかが求められる。不思議な現象だと思います。」
確かに、近年名前が売れている芸人は、占い、スポーツ、ギャンブルなど、何かに詳しい芸人が活躍している印象ですよね。
ネタが面白くても、芸人として売れる道筋が見えない。
そんな状況の中で、ほとんどの芸人は副業をしないと生きていけなくなっています。
と、ここで、注文していたバリ風料理が登場。
せっかくなので食レポしていただきました。
しかし、一通り食レポが済んだところで、ソースをかけずに食べてしまったことが判明……
(石井さん、ボケなのかツッコミなのか!?)
“夢追い人歓迎”のバイトには本当に芸人や役者が多い
芸人の世界では一般的に、事務所に所属しているかどうかでプロかアマチュアかを判断します。事務所所属=プロ扱いということですね。
しかし、事務所に所属できても固定給は出ません。出来高制で給与が大きく変動するシステムです。
そのため、生活費や活動費を得るために、お笑いに関係のない副業に従事することも、芸人の世界では当たり前のこととして認められています。
副業の中には、事務所以外のツテでお笑いの仕事が入ってくることも。その場合は、事務所が間に入るケースもあれば、薄謝程度ならそのまま受け取るケースもあります。
売れる前の芸人さんって、かなり貧しいイメージがありますよね。
年齢よりも事務所の所属歴で先輩か後輩かが決まる業界。売れるまでの苦しい期間は、マネージャーや先輩が食事をおごってくれることも頻繁にあるそうです。
とは言え、売れるまでの期間、家賃や活動費は自分たちで稼がないといけません。
アルバイトの募集情報を見ると「あなたの夢を応援します」「夢追い人、大歓迎」というメッセージを掲載している仕事がありますよね。そういったアルバイトには、本当に夢を追う人たちが多いそうです。
石井さんもこれまでに副業で、芸人、俳優、声優など、たくさんの夢追い人と同じ職場に勤めてきました。
カード会社の仕事が芸人の副業に向いている理由
石井さんはローカルテレビへの出演を主とする芸人としての活動の傍ら、カード会社のコールセンターで副業を始めて4年になります。
芸人同士の口コミで、カード会社は芸人の副業として人気なんだとか!
石井さんは23時~9時の時間帯の夜勤を、週2~4日でこなしています。毎月のシフト制のため、時間の融通が効きやすく、昼間の芸人としての活動を優先したスケジュールを組める点がメリットです。
コールセンターでの仕事内容は、クレジットカードの所有者から掛かってくる電話への受電対応です。例えば、カードの使い方に関する質問への回答や、宿の予約をするコンシェルジュサービスなど、さまざまな対応が求められます。
コンシェルジュサービスでは、難題に取り組むことも多くあります。
大雪で交通が麻痺していた夜中に、タクシーを呼んでほしいという電話を受けた石井さん。あらゆるタクシー会社に電話を掛けますが掴まりません。依頼者の宿泊先にも電話し、ホテルからタクシーを回してもらえないか問い合わせるなど尽力しましたが、遂にタクシーは掴まりませんでした。希望に応えられませんでしたが、対応内容を全て説明した石井さん。最初は不服そうにされていたお客様も、その対応に納得されたのでした。
芸人とコールセンターの仕事に共通項はあるか訪ねてみました。
「芸人はお客さんの空気を読めないと務まりません。電話越しですが、お客さんの空気を感じ取るのは得意だと思います。」
面識がなく顔が見えない相手との会話だからこそ、電話対応はトラブルにも発展しやすいですよね。
難しい状況でも、会話力で問題を解決して、満足してもらう仕事。
確かにカード会社のコールセンターは、話術に長けた芸人さんたちに向いている副業かもしれません。
「やめずに続けることに意味がある」
昼の仕事と夜勤を両立する生活に、金銭的な不安。
どんなに好きなことでも、続けていけるかどうか弱気になることって、ありますよね。
芸人をやめようと思ったことはあるか、石井さんに聞いてみました。
予想に反して、キッパリと「ないです」の答えが返ってきました。
「ダムダムおじさん」が大切にしている言葉があるからなんだとか。
最初に所属したS事務所から移籍する際に、当時のマネージャーからもらったメッセージであり、その後に所属したM事務所の構成作家からも受け取ったメッセージです。
「やめずに続けることに意味がある。」
節目の度に異なる人物から受け取った言葉。
だから「辞めようと思ったことはなかった」と語ります。
「ダムダムおじさん」の作り出す笑いは、体を張ったネタが特徴的ですが、一方で、誰も傷つけない、とても平和な笑いです。
これからも地元静岡を中心に、愛されるコンビとして踏ん張っていただきたいですね!
「ダムダムおじさん」ホームページ⇒ http://www.dum-dum.info/