嫁・家族名義の副業って色々大丈夫なのか、税理士さんに聞いてみた

こんにちは!ビジネスメール送る時って文末に自分の名前入れるじゃないですか。僕は名字が信夫(シノブ)なので当然文末に「信夫」って入れるんですけど、その時ヘトヘトで思わずミスタイプしちゃって「上記の件、ご確認とご対応をお願い致します。 死のう」ってメールを送信して外注先を戦慄させました。死にません。シノブです。bがね。抜けっちゃった。

先日仕事終わりに立ち寄ったカフェで隣の会社員らしき2人がこんな話をしてました。

「あー、副業したいわ。なんかこう、手間暇かからないやつで何か、ないかな。ECサイトとか、そういう。でも自分の会社は副業が禁止されてるからさ。までも実際の作業とかは自分がやるとして、事業を行っているのは嫁(配偶者)とか実家の婆ちゃんにして、収入もそっちに入るようにしたら会社には副業がバレずにうまくいくかな?でも実態としては僕だし、法律的にはどうなんだろうね。」

いた。サイドラインズの読者のペルソナの生き写しみたいな方いた。その人は片山って呼ばれてた。そうだよね。収入の名義を自分以外の人にしたら大丈夫なんじゃないかって一瞬考えるよね。でもそれって結構リスクがあるんです。名義の問題って。なので今回は副業にまつわる名義の話を税理士さんに聞いてきたのでまとめます。片山に届くことを祈って。

副業の名義問題に関しては「実質所得者課税の原則」を前提に考える

何か事業をして収入を得たり、もしくは不動産収入を得る場合に、名義を変えてどうのこうのしようと考えている人に覚えておいて頂きたいのが「実質所得者課税の原則」です。「所得税法基本通達」という、所得税の扱いに関する解釈が示された文書にこの「実質所得者課税の原則」に関する記載があり、そこで、今回の副業の名義に関する点が触れられています。

副業がバレないように名義をいじると、脱税に繋がるリスクがある。

シノブ

先生!今回もなにとぞ!
嫁とか家族の名義での副業ね。これは結構リスキーですよ

先生

シノブ

やっぱりそうでしたか。具体的にはどんなリスクが?
脱税

先生

シノブ

脱税!副業がバレるどころの話じゃなくなりますね。
所得税法12条の「実質所得者課税の原則」では、事業から生まれる収入は誰のものかという点で、名義上の事業主と、実質的に経営を行っている人が違う場合には、その事業の収入は実質的に経営を行っている人のもので、その人に課税すると定めているんです。例えば嫁名義で事業を立上げたけど、経営の主体が旦那の方にあれば、その事業の収入は旦那のものだよっていうこと。

先生

シノブ

なるほど。まそりゃそうですよね。でもそれがどう脱税に繋がるんです?
「実質所得者課税の原則」ではそう決められてるからね、本当は実質所得者が確定申告もしなきゃいけないんですよ。でも妻とか家族の名義でやるってことは、多分会社に副業をしていることをバレないようにするためってことでしょ?そうなると確定申告も妻とか家族の名義でするでしょう?

先生

シノブ

あ、そういうことですね。実質所得者は旦那の方だから、本当は旦那が確定申告して納税しなきゃいけないんだけど、そうせずに嫁とか家族が確定申告をするとなると、旦那は所得隠しの脱税になるってことですね。
そうそう。副業がバレないようにと思って気軽に名義とか変えてやんない方がいいよ

先生

名義を変えた副業による脱税へのシナリオ
①副業がバレないようにと、事業の名義だけを嫁や家族にする(経営主体/実所得者は自分のまま)
②収入も嫁や家族のものにして、嫁や家族が確定申告する
③税法上、事業収入は経営主体である実所得者のものなので、ホントは自分の収入。
④自分の収入なのに確定申告しないと・・・
⑤脱☆税

名義を変えて副業しても会社にバレる可能性はある

シノブ

法律の観点から見ると、事業の名義人と収益を得ている人が違うことで、税法上でリスクがあるっていうのはわかりました。そもそも会社にバレるとかバレないとかの観点で考えた場合ってどうなんですか?
そこね。法律的にはよろしくないので、バレるバレないの観点で考えてほしくないんですが、しいて言うなら、確率は高くないかもしれないけど、バレる可能性はあります。

先生

シノブ

あ、やっぱバレるんだ。税務調査が入った場合とかですか?
そうですね。前述の通り、実態として名義人が実質所得者ではない場合、つまり奥さん名義で副業してるけど、実際に経営の決定権をもって副業をしているのは旦那さんで、その収入を旦那が受け取っている場合は、旦那さんが確定申告をする必要があります。この場合に旦那さんが確定申告をしないと、ひらたく言って脱税になるんですけど、そうなると脱税と副業のあわせ技一本でバレる。

先生

シノブ

あわせ技一本。東京五輪で復活するやつだ。
そうですね。だからやはり名義だけ妻や家族名義にするっていうのは止めておいたほうがいいです。税務調査って、稼ぎが大きくないと来ないとか言われますけど、売上が数百万円台でも普通に来ます。もちろん規模が大きな事業所のほうが税務調査は来やすいと思いますが、規模が小さいから来ないっていう訳でもないので。リスクは常にあります。

先生

妻や家族名義の副業がバレるのか
適正に確定申告していないと、税務調査でバレる。副業どころか脱税とあわせ技一本で盛大にバレる。

嫁や家族名義で副業をするなら、経営主体も嫁や家族に

どうしても嫁とか家族名義での副業にしたいなら、本当に、副業の実態としても嫁や家族が主体にしないとダメ。

先生

シノブ

主体も嫁や家族にするってどういうことですか?
これは一概には言えないけども、例えば経営の意思決定を嫁や家族が行うとか、資産とか収支の管理、会計処理も嫁や家族が行うとか、嫁とか家族の名義で人を雇うとか

先生

シノブ

あ~。確かに名義だけじゃなくて、もうがっつり経営の主体って感じですね。
実務上でどれだけその人が経営の主体になっているか、ですね。過去の裁判の事例とか見ても、このあたりを総合的に検討して、実質所得者が誰かを判定していますね。

先生

経営主体(実所得者)の判定要素
・事業開始、会社設立の経緯
・資金や出資を誰が行っているか
・経営に影響する意思決定権や支配的影響力は誰が持っているか
・資産、収支、会計の管理は誰が行っているか
・事業活動上の手続きの名義は誰で行っているか
・従業員の雇用や指揮・管理・監督は誰が行っているか
・事業関係者の認識(経営主体を誰だと認識しているか)等

節税の観点から副業の名義を変える場合も慎重に。

シノブ

副業の名義を誰にする問題の結論としては、名義人が実所得者であれば(経営の主体であれば)法律的には大丈夫であるということですね。例えば家族全員でフリマアプリに出品したりして、その管理を奥さんやご家族がやっているような状況であれば、名義人であり実所得者として認められる可能性が高いと。
そうですね。今回の件って根本にあった悩みとしては「バレないように副業をしたい」ですか?それとも「節税をして少しでも可処分所得を増やしたい」ですか?

先生

シノブ

片山的には前者だと思うんですけど、どういうことですか?
なるほど、それであれば今までお話した内容で大丈夫だと思いますが、節税が目的だとすると、お嫁さんやご家族の収入として計算することで、扶養から外れて税金が多くなってしまう可能性もありますからね。そのあたりは細かく計算した方がいいかなと思っただけです。

先生

シノブ

確かにそうですね。所得税も社会保険料なんかも影響ありますもんね。税金の世界は深い。
以上、副業の名義の件で税理士の方にお話を聞いてきました!身近に片山さんっていう会社員の男性の知合いがいらっしゃったら、シェアしてもらえると幸いです!
死のう

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です