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長野県への興味や好奇心を追求した結果、事業展開に繋がった話

長野県への興味や好奇心を追求した結果、事業展開に繋がった話

こんにちは。サイドラインズのアンリです。

私の出身は長野県なのですが、みなさん長野といえばどんなイメージをお持ちでしょうか?
自然が豊かで空気が美味しい。食べ物が美味しい。善光寺がある。などなど。
魅力はたくさんありますが、魅力の伝え方って難しいですよね。

今回インタビューをした君島さんは、洋服店を経営しながら飲食店を3店舗経営、まちづくり事業にも関わり、「食」「農業」という観点から長野県の魅力を発信していこうと活動されています。
ここまで事業展開をしている経緯と長野の魅力の伝え方についてお聞きしたいと思います。

kimishima
君島登茂樹さん

大学卒業後は洋服店で個人事業主

長野県出身の君島さんは、東京の大学で経営学を学んでいました。

君島さんのお父さんは自営業でアパレルの仕事をしていたので、長男である君島さんがいずれお店を継ごうと意識されていたそうです。

東京で就職しようと考えたこともありましたが、時代は就職氷河期。妥協して行きたくない会社に勤めるのであれば自分でお店を持とうと、父の後押しもあり長野で個人事業主としてイチから洋服屋の経営をはじめました。

君島さんのお店では、仕入れをして販売をする小売業と洋服のお直しをする事業をしています。

洋服のお直しの事業は「昔買ったいい洋服が体型の変化で着られなくなってしまっているのは勿体無い。物を直して長く着られるようにしたい」と君島さんの代から始められました。

オフィス街に店を構えているため、サラリーマンやアナウンサーが頻繁に店を訪れています。

しかし、日々の業務の中で君島さんは物足りなさを感じるようになりました。

「洋服屋は父が作ってきたもので、僕自身は長男だからという使命感はあったものの、知らない誰かが作ったものを仕入れてただ値段をつけて売るという一連の流れを続けることに面白みがなくなってきてしまった。自分で作り手を探して、惚れ込んだもの、本当にすすめたいものを売っていきたい。」

もともと料理や野菜が好きだった君島さんは、洋服屋を経営する傍、時間を見つけて県内全域の直売所や農家さんに足を運びコミュニケーションを取るようになりました。

長野の農業の魅力を目に見える形にしたい

君島さんが野菜の魅力を感じ始めたのは、東京で大学生活を送っていた頃でした。

高校生までは、長野の実家のおばあちゃんの畑で作った野菜が当たり前のように食卓に並ぶ環境で育った君島さん。

東京に出た時、野菜の値段が高い割に美味しくないことにショックを受けました。

「都会の子供たちは野菜嫌いが多いと聞いていたが、本当の野菜の美味しさを知らなければ好きにならないよな。」

今までの実家で美味しい野菜を食べていた体験は、すごく貴重なものであるという「野菜の価値」に気が付きました。

そんなことを感じながらも洋服店を始めると、いつのまにかたくさんの人との繋がりができていきました。

農家さんとお話をする機会があり、有機野菜について話をしていた時、手間をかけている分周りと比べて値段が高くなってしまっている問題を目の当たりにします。

「有機野菜を手間をかけて作っても魅力を伝えきれていない。自分のように野菜の価値に気づいている人は、都会の中心にいる。売り方や見せ方を工夫すればもっと魅力的な伝え方ができるのではないか」

そう思った君島さんは、野菜を作ることで忙しい農家さんの代わりに、東京のファーマーズマーケットやマルシェに野菜やお米を売りに行くお手伝いをしました。

東京でのお客さんの反応は衝撃的なものでした。

農業や農薬、作り手の情報に対して感度の高い人たちがマルシェに集まり、興味関心を示して聞いてくる。

そういった消費者の熱い気持ちに触れて、自分も野菜を売っているのに長野のことを知らないことが多いと気付きました。

「長野の食の魅力を伝えるためには、まず自分が楽しんだり魅力を発見していかないと何も伝えられない。長野は、自然が豊かことが魅力。その恩恵は農業や観光にある。その魅力をもっと目に見える形で伝えていくためには、農業を切り口にして自分が触れた魅力を伝えられれば、県外や海外から来た方々にもっと今の長野県が「面白い」「また来たい」と思ってもらえるような魅力的な場所になって行くのではないか」

と感じました。

野菜を無駄なく循環させる仕組み作り

当時、平日は自営業の洋服店。土日は東京のマルシェに行く。という生活リズム。

しかし、土日だけのマルシェでは天候によって野菜の売れ残りの問題が発生します。

「この仕組みではダメだ。このままではただの趣味として終わってしまう。これを商売に変えるには、地元にも在庫を置ける拠点があって、売れ残りを無駄なく循環させる仕組み作りが必要になる。」

そう考えた君島さんは2014年〜「ファーマーズキッチンGONDO」という八百屋と飲食店が合わさった飲食店をオープンしました。

kimishima
ファーマーズキッチンGONDO

開店当初のコンセプトは「八百屋カレー」

売れ残りの素材でも味は確かなものばかり。老若男女問わずに食べてもらえるカレーにすることで売れ残りの問題も解決していきました。

そして店舗があることにより、異業種交流会やなどのイベント開催ができるようになりました。農家はもちろん、県庁、市役所の職員、デザイナー等、様々な人が行き来する交流の場としても盛り上がっていきます。

当時はお店周辺で交流の場があまりながったので、新聞に取り上げられたり、その新聞をみて更に人が集まったりとどんどん広がりを見せていきました。

もちろん八百屋としての役割も果たしていました。近くにはスーパーがあるのですが「ファーマーズキッチンGONDO」で取り扱う野菜は、洋野菜やハーブ系、季節野菜など珍しい野菜ばかり。

近隣の飲食店の人たちが直接買いに来ることが多かったそうです。

ここまで洋服屋さんと飲食店と並行しながら1人でやって来た君島さんでしたが、ある日近くの大学に通う学生が「こうゆう八百屋で働きたい」と飛び込んで来ました。

それからは、その学生を連れて長野県全域のより多くの直売所巡りや農家さんに会いに行ったり、イベントに出店したり、時には畑を手伝いながら現場の人達話をして君島さんが売りたい野菜を選んでいきました。

君島さんに選定基準は「自分がときめくかどうか」

自分の商売が儲かるのもちろん大事ですが、それよりこだわりをもった若手や新規就労者を増やして、長野の野菜を売っていきたいというマインドの農家と、一緒にやっていきたいと思っているそうです。

その基準でパートナーを選定した結果、長野県に移住して来た人が多くなったそうです。

やはり、農業を本当にやりたくて移住して来る人は熱意が滲み出ているのかもしれませんね。

衰退していくアーケードを若い力で変えていく

ある日、野菜を買いに来ていたシェフと情報交換をしていた時のことです。ある飲食店のオーナーさんがいなくなるので店を買わないかという話が来ました。

「ファーマーズキッチンGONDO」を経営していた時の課題は、シェフがいないこと。本格的に料理を作れる人がいないと加速は難しいと考えていました。

その店舗は、厨房もシェフもスタッフもそのままでいいと言われ即決。

店舗のある場所は「権堂」。

アーケードのある商店街にはお店が立ち並びますが、昼間の人気はまばらでどこか寂しさを感じます。

君島さんは学生時代、「権堂」が遊び場でした。昔は活気があった商店街の面影は薄れ、衰退していく様子も目の当たりにして来ました。

「今時の若い人たちがお店を出せるような雰囲気を作っていこう」

君島さんは、「せっかくやるのであれば成功モデルではないけれど、やり続けたい。不安よりも権堂を変えていこうという使命感しかなかった」と店舗を展開することに常に前向きでした。

こうして、飲食店2店舗目の「GOFUKU(ゴフク)」を2015年にオープン。

kimishima
GOFUKU(ゴフク)

 

詳細はこちら↓↓
GOFUKU(ゴフク)

「ゴフク」という名前は、もともと呉服屋さんの建物をリノベーションして作ったことが由来となっています。

そして「五つの福」。五感の全てを使って楽しんでもらえるような飲食店にしていこうという願いも込められています。

「GOFUKU」でおすすめしたいのが、何と言ってもクラフトビール。

クラフトビールの定義は、「小規模」であること。規模は小さいけれどこだわりを持ったブルワリーで大切に作られています。「小規模」だからこそ出せるメリットだったり、差別化されていたりする商品は、地域によって異なり遊び心が感じられます。

「長野県内には数多くのブルワリーが存在していてそれぞれの特色や面白い。地域ごとの特色の違いは「農業」にも通じるものがある。」

と語る君島さん。

「農業」を発信したくて始めた飲食店ということもあり、長野のクラフトビールやお酒の魅力を余すところなく発信されています。

ちなみにクラフトビールのセレクトは、以前飛び込んで来た大学生の彼。相当なクラフトビール好きなので、彼に全てを任せているそうです。クラフトビールが好きな人がオススメするビールは、地域の特色や味の違いまで教えてくれるのでより一層美味しく味わうことができます。

農業と観光で世界をターゲットに

「GOFUKU」をオープンしてからしばらくして、人員不足のため「ファーマーズキッチンGONDO」は閉店となりました。しかし、「ファーマーズキッチンGONDO」に来ていたお客様から新たな分野の仕事で声をかけられます。

それは、「山ノ内町」の地域の魅力を発信し活性化に繋げていくことを目的とした「株式会社WAKUWAKUやまのうち」という会社。

詳細はこちら↓↓
WAKUWAKUやまのうち

君島さんは、2016年〜山ノ内町飲食事業部長として飲食店を2店舗取り仕切ることとなりました。

その頃東京にも店舗を持ちたいと考えていた君島さんでしたが、2つはさすがにできず、どちらに店舗と作ろうか考えた結果、山ノ内町での店舗運営を決意します。

最終的な決定打は「インバウンド」でした。

山ノ内町は、猿が温泉に入る姿が見られる「地獄谷温泉」があることで有名です。「スノーモンキー」を見ようと毎年海外から大勢の観光客が訪れています。

山ノ内町は「農業と観光のまち」と言われるほど素材がたくさん揃っています。
スキー場や温泉もあり、りんごやブルーベリーも美味しい。まさに長野のいいところを丸取りしている街なのです。

さらに既にインバウンドにも力を入れてすでに外国のお客さんが来ている土壌。

しかし、外国人が来る理由は、ほぼ「スノーモンキー」。それを見たら日帰りで帰ってしまいます。

せっかく「農業と観光のまち」と謳っているのであれば、もう少し農業の魅力も伝えられる場所が作れるのではないのか。東京に行ったら埋もれるだけだが、山ノ内町には競合は少ない。温泉街を訪れる全世界のお客さんをターゲットにできると思い活動がスタートしました。

君島さんが取り仕切る飲食店「HAKKO」は北信地域の発酵食品や野菜、お肉を押しているお店です。

kimishima
HAKKO

詳細はこちら↓↓
「HAKKO」

「長野は農業の文化、発酵の文化が根強く、全国、そして全世界に押し出していきたいポイント。長野にいると当たり前になってしまっていますが、東京では発酵食品ブームが起きているほど人気が高まっている。都心で関心を持たれているものをもう1度見直して再発見していこうと思っています。
また、現代の若い人たちは発酵食品のレパートリーや使い方をよく知らないですよね。でもよく考えたらお酒やビールも発酵食品であるように、面白い見せ方をしながら発酵食品を身近に感じてもらえるように魅力や効果を伝えていきたい。」

と語る君島さん。

「HAKKO」のような地域の特色を生かした店舗を、今後は中信・南信・東信と4店舗を展開することが次の目標とのことで、更に注目が高まります。

もう1店舗「chamise」というカフェも構えています。

kimishima
chamise

詳細はこちら↓↓
「chamise」

「WAKUWAKUやまのうち」には飲食事業・宿泊事業・農産物ブランディング事業の3つの視点から地域を捉えています。

宿泊事業の「AIBIYA」は、廃業した旅館をリノベーションしたホステル。

「旅から離れよう」というコンセプトの元、旅人たちの心休まる癒しの空間を提供しています。

詳細はこちら↓↓
「AIBIYA」

泊食分離を進める宿が多くなれば1晩で宿泊している観光客が街に食事に出るので、必然的にカフェや飲食店に足を運びます。

活動2年目の現在でも、インバウンドの宿泊者数、乗降者数は年々伸びており、東京オリンピックまでにはもう少し伸びるであろうと予測しています。

農産物ブランディング事業では、温泉街の課題であるグリーンシーズンでの対策を視野に入れています。

グリーンシーズンには、スキー場がやっていない、猿もお風呂に入っていない。

しかし、農業という部分ではまさに盛りの時期。

農業と観光を結び付けられる企画を考えて、1年を通して街が潤う仕組みを考えているそうです。

考えるだけでもわくわくするような仕掛けと取り組み、実行力が街を支えています。

実際に私が山ノ内町を訪れた際も外国人観光客が多く、日本の文化が節々に触れられる街に魅力を感じました。

今後の更なる発展は間違いないですね。

長野にしかできないことを

アパレル事業、飲食事業、地域活性化事業と多岐にわたる事業を展開している君島さんですが、この根底には共通している部分がありました。

それは「長野でしかできないことをやること」

飲食業、ローカルビジネス事業では、長野ならではの食材や素材を掘り出し美味しいもの、かっこいいものを作り出していく。

アパレルの事業は、ファッションというよりライフスタイルまで広げ、繋がっている農家さんの加工品など、アパレルの部分でも食の提案をしていく。

どちらからも、長野だから生み出される良い商品、良い食材の魅力を伝えていきたいという気持ちが伝わってきます。

事業展開が止まらない君島さんですが、最後にモチベーションを保つ秘訣をお聞きしました。

「世の中に好奇心を持つこと。そうすると毎日楽しくて働いている感覚があまりない。自分で複数のことをやるリスクの反面、会いたい人に会いに行ったり、好きな場所に行ったり、好きな勉強ができて、自分なりの表現が出来るということが魅力です。自分らしく楽しく毎日働くことを1日たりとも止めたくないというのがモチベーションの原点です。」

日々楽しく仕事をしている君島さんの元で働くことができたら、ワクワクしそうですよね。

しかし、事業展開を広げる中でスタッフ同士の人間関係に気をつけることもあったそうです。

後編では、経営者としての人材の見つけ方に焦点を当ててインタビューしていきたいと思います。

後編の記事はこちら↓↓
http://sidelines.jp/post-3318

 

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長野県在住のライター山崎です。現在は、コワーキングスペースにて勤務しています。趣味は、アウトドア・キャンプ・音楽を聴くこと・温泉に入ること。週末は、家族で温泉に行くことが日課です。

 

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