スニーカーオタクの高校生がファッション業界で活躍する複業家になるまで【後編】

横路さん画像

スニーカーを好きすぎて、ひたすらコレクションに猛進していた大学生時代の横路さん。>>詳しくはこちら<<

スニーカーを探しに友だちとフリーマーケットへ出かけたことをきっかけに、モノを仕入れて販売する楽しさに目覚めた横路さんは、最終的に大学を中退して古着ブランド「DIGRAG(ディグラグ)」を立ち上げるまでに至りました。このまま順風満帆な人生を進むのかと思いきや、さらなる波乱が待ち受けていたようです。

地方の50坪のお店から全国展開するまでに成長……しかし

「DIGRAG」TOP画像

ブランド古着専門店「DIGRAG」HP

今では「フリマアプリ」の登場で、ブランドものの古着も手軽に購入することができるようになりました。しかし、横路さんが大学生の頃は、「古着といえばアメカジ」の時代。ほぼ同じ世代の私の記憶では、ブランドものの古着はリサイクルショップやフリーマーケットで手に入れることが主流だったように思います。

フリーマーケットでブランド古着の仕入れ販売を行っていた横路さん、「DIGRAG」を立ち上げる時もブランド古着を主力に勝負を仕掛けたとのことです。最初は、新潟の50坪の倉庫を改装して店舗を構えたのだとか。

たくの

店舗を構えるってなかなかすごいことだと思うのですが、どうやって進めたんですか?
新潟にスニーカーマニアの友だちがいるんですけど。彼の知人に建築学部出身の方がいて、協力してもらいました。内装も自自分たちで進めたんですよ

横路さん

たくの

え! 業者に頼んだわけではないんですか?
はい

横路さん

たくの

横路さんは建築に関して詳しかったわけでは……
ないですね

横路さん

すごい! 自分の友人にもいますが個人でお店を開く人って、内装も自分でやっちゃう人が多い気がします。

たくの

お店がオープンしてからも、順調に売上を伸ばしていったわけですよね?
そうですね。全国で6店舗まで広げました。恵比寿にもあったんですよ

横路さん

たくの

えびす!(めっちゃレベル高い立地だし!
だけど、ある時に限界を感じて古着屋の経営を外部コンサルへ任せることにしたんです

横路さん

うええ!せっかく売上も伸ばしていて、順風満帆だったはずなのになんでまた? もったいない!(ドケチ根性)

たくの

限界って、どういうことですか?
大学時代にフリマで商売を始めて、22歳でブランド古着の店舗を構えました。それで、地道に商売を続けて年商2億8千万ほどまで会社を大きくすることができました

横路さん

たくの

におくはっせんまん!(ゼロ、何個?)
だけど、後からできたアパレルブランドが、あっという間に自分の年商を超えていったんですよね。それらのブランドの特徴は、安く仕入れてロットを積んで、手頃な価格で販売しているということ

横路さん

たくの

あー、なるほど

「DIGRAG」は、あくまでブランド古着の専門店です。だから、安く大量に仕入れることは難しいですよね……。しかも、良いモノを見つけるには手間も時間もかかります。

一応、自社ブランドも立ち上げたことはあるんです。でも、中国生産に切り替えて失敗しましたね(笑)。過剰在庫を抱えることになってしまいました

横路さん

いや、笑いごとではないですから!

まあ、それで1度いろんなことをリセットしようと。30歳の頃ですかね

横路さん

トイレにパン屋……さまざまなことに挑戦

限界を感じたり、自社ブランドの立ち上げに失敗したと言いつつも、古着のリサイクル事業そのものは上手くいっていた横路さん。当時30歳、無理していろんなことをリセットしようとしなくても大丈夫だったはず。それでも、横路さんは「DIGRAG」の経営を外部コンサルに譲ってしまいました。

たくの

全てリセットした後は、何をしたんですか?
いろいろやりましたよ。“トイレ”とか

横路さん

たくの

トイレ!?
トイレ画像

トイレの口コミサイトを作ろうとしたものの……

ものすごく斜め上な回答が出てきました。トイレ? 古着からトイレ? 動揺せざるを得ません。

たくの

トイレってどういうことですか?(軽くパニック)
価格.com」っていうサイトがありますよね? いろんな商品の価格や特徴を比較できるサイトなんですけど

横路さん

たくの

はい、知ってます
あれのトイレ版をやろうとしたんです。「快適トイレナビ」っていう。「どこのトイレにはウォシュレット機能がついていて便利だよ」みたいなことを調べたり、口コミで投稿できるように

横路さん

たくの

おお……

なんとなくイメージはできたものの、なぜトイレ……。キレイでウォシュレットも付いていたら快適なトイレタイムを過ごせるかもしれない……。でも、口コミ……。

たくの

……そのサイトは完成したんですか?
いや、できませんでした

横路さん

たくの

僕は服やモノを売る知識はあったんですけど、IT関連に関してはサッパリだったんです。だから、知り合いのプログラマーを紹介していただいたんですけど、ちょっと上手くいきませんでした

横路さん

たくの

うーん

確かに、一口に「サイトを作る」といっても簡単なことではありません。作った後も、運営やメンテナンスもしなくてはならないですし……。

“ワンコインベーカリー”計画を発案、でも……?

たくの

他には何をなさったんですか?
年商100億円を生み出す“ワンコインベーカリー”計画を考えたんです

横路さん

パン画像

年商100億を稼ぐ“ワンコインベーカリー”計画も

たくの

おお!(イメージしやすい)
それで、パンのことを勉強しようと思って、パン工場で仕事を始めたんですよ

横路さん

たくの

そっち!?

「パン屋さん」じゃなくて「パン工場」! やっぱり、発想が普通じゃない(褒めてます)。横路さん、ただ者ではない。

まあ、“ワンコインベーカリー”計画も実現できなかったんですけど

横路さん

たくの

ええ!

実現してないんですか!! でも、その割にはものすごくポジティブというか、なんというか……。

たくの

パン工場での経験で今に活きていることってありますか?
そうですね……。工場ってちゃんと自分の作業をしていればお給料がもらえるんですけど、ある意味、閉鎖的なのかなと思ったんですよね。なんていうか、新しいことに挑戦する機会が少ないというか……。もちろん、決められたことをこなすのは大事なんですけど

横路さん

たくの

ふむふむ
僕だったら、働く人に何かしらチャンスを与えてあげたいなって思ったんですよね。人って、自分がしていることに未来が見えないと逃げたくなると思うんです。だから、僕はをゴールまで導いてあげられる人になりたいと思いました

横路さん

上手くいかなかったことでも、そこから何かを学ぶ姿勢を忘れない横路さん。一見、失敗に思えるようなことでも笑って話せるのは、その経験をきちんと糧にしているからなのだなと思いました。

さて、ブランド古着「DIGRAG」の経営を譲り、トイレの口コミサイト運営や“ワンコインベーカリー”計画に挑戦しようとするも上手くいかなかった横路さん、当然このままで終わるわけではありません。こちらの記事で紹介している買い物同行サービス「ファッションアテンダント」を立ち上げ、ファッション業界に新たな風を吹かせています。

すぐにネガティブな方向へ行ってしまう宅野、何があっても「好き」を諦めない横路さんのポジティブさを見習います。

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