こんにちは。長野県に在住サイドラインズのアンリです。
私が長野県で出会った「石田諒さん」。現在は、長野県佐久市で「地域おこし協力隊」として活躍されています。
石田さんは活動期限が3年という、限られた時間の中で勢力的に活動範囲を広げ、人脈もどんどん広げています。人と人との出会いがきっかけで、現在はフリーペーパー「Patapata」の編集にも携わっています。
前編では「地域おこし協力隊」の実態と、副業をはじめるまでの経緯についてレポートしました。
積極的に活動を広げている根底には、どんな思いやねらいがあるのでしょうか?
また、3年間の任期終了後にはどんな活動を思い描いているのでしょうか?
後編では、今後の活動についてお伺いしたお話をレポートします。
大切なのは人から信頼を得るための準備期間
「地域おこし協力隊」として地域を活性化するために佐久市に来たけれど、実際の活動としては地域団体のアシスタント的な雑務がほとんどでした。
事務的な書類作りや連絡の取り次ぎ、イベントの際は会場設営や受付の手伝いなど。
正直アルバイトと変わらない仕事が続きました。
今までやっている事業を継承していくだけでは地域おこしにならない。なによりも、お互いにもったいない。
自分の能力や、やりたいことを知ってもらい活動の幅を広げるため、とにかくいろんな人に会おうと、休日返上で地域のイベントやコミュニティに参加。
子どもたちや若い世代とも接点を持つため地元のダンスクラブに所属したり、市民ミュージカルに出演したり、とにかくまずは「一般の市民」になることを意識しました。
フリーペーパー編集部の仕事やその他の活動も元をたどれば、人と人との繋がりから生まれたもの。
ビジネスをやろうと思って始めたのではなくて、活動の中の自然な流れで「副業」に繋がっていきました。
「たとえ副業でも利益先行でビジネスやっていたらきっと信頼してもらえない。収入も大事だけど人や社会に役立つようなことをした方が、先々自分の為になるんじゃないかと思っています。」
と語る石田さん。
お金を稼ぐだけでは、自分の価値は上がらない。
副業として関わっているフリーペーパー「Patapata」の編集やその他の活動をすることによって自分の中に幅ができました。
その人が何をしているか、どういう役割でいるか、そこが大切なんだと思います。
誰かに求められるからそれが仕事に繋がるわけで、「副業」は信頼のもとで成り立ちます。
「人から信頼を得るための準備期間がとにかく大切だった。」
と石田さんは語ります。
コミュニティ作り「コミサイ(信州古民家再生プロジェクト)」
石田さんは現在、「コミサイ(信州古民家再生プロジェクト)」というチームの共同代表もつとめています。
コミュニティ作りの場として常に開催地を移動しながら、古民家を見学に行ったり、古民家のある地域を町歩きしたり、ゲストを呼んでトークイベントを開催したり。2017年の1月から現在まで、20回以上のイベントを企画開催しています。
活動が始まったきっかけは、Facebookで「古民家リノベーションやってみたい」と石田さんがつぶやいた一言でした。そのつぶやきに、佐久市のコワーキングスペース・iitoco!!の代表(当時)大越さんがすぐに反応。
「一回イベントやりましょう」とあっという間にイベント開催が決定。
「古民家リノベーションアイディア拡散会」というワークショップ形式のイベントを開催したところ、25人ほどの人が参加してくれました。
現在は、初回の参加者だった東御市・「おみやど」のオーナーである宮下さんも加わり、3人の共同代表として活動しています。
「コミサイ(信州古民家再生プロジェクト)」が企画開催するイベントは多岐にわたります。
不動産屋さんに張り出されている広告を見て古民家の内覧に行ったり、実際にリノベーション中の古民家物件を見に行ったり、その土地の人しか案内できないような「知る人ぞ知る穴場スポット」に案内してもらったり、お寺の蔵を片付けたり。廃校になった空き校舎を見に行ったり。
「共同代表の3人が興味のあることをやる、行きたいところに行く、会いたい人に会う」をうまく集客イベントに昇華しているので、運営しているというよりも遊んでいる感覚に近いといいます。
楽しんでやっている様子が評判を得たのか、少しづつ自治体との連携も生まれているといいます。
イベントの参加者は毎回10人〜20人ほど。Facebookを中心にネットでの情報拡散にチカラを入れているため、その影響力は未知数です。
古民家と言うキーワードは妙に反応があるようで、建築家の人や地域おこし協力隊、空き家を持っている人、古民家に住んでいる人など普段の生活では知り合わなかった人が知り合うきっかけづくりとなっています。
「この人の話を聞いたみたい、どうせ聞くならみんなで聞こう」というスタンスで開催されるトークイベントのテーマは毎回さまざま。参加者も随時意見を投げて良いルールのため、ときには設定したテーマから大きく外れることも。しかし、最終的には上手くまとまっていく。
それは、参加者の多くが地域に関して興味や関心が強い人であり、それぞれの土地や住民、そして将来を担う子どもたちへの愛があふれているから。
熱量をもって話したい人や実際に地域で活動している人が集まり「かけ算」を繰り返すことで、強いコミュニティが自然に生まれていきます。
直接的な収入ではありませんが、現在は古民家やゲストハウス、各自治体の地域おこし協力隊や文化活動団体からイベント開催や協力の依頼もあり、6月まで企画が決まっているとのこと。
大学や研究機関との連携も視野に入れているとのことで、ここからどんな方向に繋がっていくのか楽しみですね。
顔が広がると自然と求められるようになる
石田さんが普段SNSに投稿している写真や映像を見て、「カメラマン」としての仕事も依頼されるようになります。
ポートレートやイベントの撮影、またウェブサイトやチラシ用の写真撮影・加工など、依頼は、さまざま。ときには、歴史あるお宅に眠っていた古写真のデータ化、という繊細な作業までこなします。
SNSだったり、人づてに伝わった情報だったり、石田さんの知らないところで勝手に紹介してくれる人もいるそうです。
さまざまなコミュニティに積極的に参加し、信頼を築いていた結果、自然と求められる存在となっていたのです。
任期終了後は、副業から複業へ
最後に、任期終了後の活動についてお聞きしました。
「任期終了後は、事業は特に限定せずに「町おこし会社」のような形で活動していきたい。
現在は、空き家の相談や移住相談をボランティアでやっています。その活動もしっかりとした事業として何か看板があれば相談しやすくなると思うので、任期終了後は、事業は特に限定せずに「町おこし会社」のような形で活動していきたい。と思っています」
と熱く語る石田さん。
実際に、関東に住んでいる全く知らない方からFacebookを介して移住相談があり、約1年間のていねいなやりとりを経て実際に長野県に移住した例もあるそうです。
「今やっていることで実績をもう少し積んでからになると思うけれど、東京と長野の窓口になれるようにあらゆる仕事を複業としてやっていきたい。せっかくいろんな人に会っているし、いろんなところに行っているので、フリーペーパー「Patapata」の編集も続けつつ、別のテーマを扱う雑誌やweb媒体もやってみたい。」
とも話してくれました。
今はパソコン1つあればどこでも仕事ができる時代になってきています。
それでも人と人との繋がりや直接会って生まれる信頼関係は、仕事を円滑に進める上でも次の仕事に繋げる為にも大切にしなければいけない基盤となりますね。
フットワーク軽くチャレンジ精神にあふれる石田さんの今後の活動には、目が離せなくなりそうです。