サラリーマンでも芝居はできる! 劇団サラリーマンチュウニの世界へようこそ

こんにちは。3年前までサラリーマンとして都内の企業に勤めていた、サイドラインズのOOXです。

僕がサラリーマンをしていた頃は、毎朝同じ電車に乗って、同じ場所(会社)に行き、夜遅くまで仕事をして、帰りに軽くお酒を飲んだり、時には終電に間に合うようにと夕飯を抜いてみたり……。

それはそれは忙しい毎日を送っていました。

でもそれは全て会社のせいでしょうか? 

いや。違います。

フリーランスとして働き始めてからつくづく思うのですが、仕事をする上で大切なのは自己管理。タイムスケジュールはもちろん、お金や健康まで。自分でしっかりと管理して、調整して、時には立て直すことがとっても重要なのです。

僕にはそれができていなかった……。
今更ですが、今回はそんなことを痛感させられる取材となりました。

世の中にはサラリーマンをしながらも、趣味を謳歌したりさらなる勉強に励んだりと、充実した毎日を送っている人はたくさんいます。

今回はそんな充実したサラリーマン生活を送りつつ、本気で演劇をしている劇団「サラリーマンチュウニ」についてレポートします。

サラリーマンでも芝居はできる!サラリーマンチュウニ劇場公演

劇団「サラリーマンチュウニ」は、メンバー5人で、年に1〜2回のペースで主宰公演を行なっている、いわゆる小劇団です。

しかも、メンバー全員がサラリーマン(役者以外の本業を持つフルタイムワーカー)というなんとも珍しい集まりとのこと。

公演を拝見し、サラリーマンチュウニ主宰の鈴木さん(もちろん現役のサラリーマンです!)にもお話を伺いましたので、鈴木さんの意図や劇団のコンセプトなどを交えながら、前後編の2記事でお伝えしていきます。

主な活動の場は小劇場。「上野ストアハウス」に潜入

テレビドラマや映画、インターネットの動画など、俳優の演技を見ることができる機会はたくさんありますが、生で舞台を観劇する機会ってなかなか少ないですよね?

僕は今回の取材をきっかけに「生のお芝居」を見る機会を得ましたが、どちらかというと芝居の世界はアンダーグラウンドなイメージが強く、ましては小劇場の公演ともなると、「そんな場所があるの?」という人も多いのはず。

上野駅から徒歩5分程度の場所ですが、路地裏にあり、少しわかりにくい場所でした。

劇場は地下にあります

やっぱりちょっとアンダーグラウンド感がありますね……。

舞台はとてもシンプルなセット

 

そして今回拝見した公演がこちら↓↓

劇団サラリーマンチュウニ 番外公演  「富士美町の朝日荘」

物語は部屋からも産まれる。それが訳あり物件なら、なおさらだ。

小高い坂を登れば、そこから富士山がよく見える。
ここ富士美町に建つ朝日荘。窓からは、朝日に映える富士山。
このアパートの一室で、今日もまた物語が産まれる。

笑いあり、涙あり、絶叫あり。訳あり物件が紡ぎ出す、カオスな物語。
進化を続けるサラリーマンチュウニが贈る、珠玉の短編集。

引用元:サラリーマンチュウニ公式HP

小劇場の公演でありなおかつ「短編集」となる今回の公演でしたが、一貫したコンセプトのもと、テンポもよくコミカルで、笑いあり涙ありと、2時間があっという間に過ぎてしまうくらい、飽きのこない内容となっていました。

しかしなぜあえて短編集という形を選んだのか?

主宰の鈴木さん曰く、それにはこんな理由がありました。

「僕らはあくまでサラリーマンの集まりなので、本業との兼ね合いで、公演に参加できる人とできない人がいます。なので公演毎にメンバー入れ替わる可能性があります。仮に、主に演出や脚本を担当している僕が公演に参加できない場合、他の人が台本を作成する必要性が生じる。そんなことも想定しつつ、劇団員全員が脚本、演出、俳優の全てができるような組織を目指しています。」

なるほど。

確かに、職種によって繁忙期は違いますし、本業がある以上は、そちらを優先せざるを得ない場合があるのは仕方がないことですね。

そんな状況を先回りして考えた結果、今回の短編集という形に行き着いたそうで、
実際に今回の「富士美町の朝日荘」は、総合演出を主宰の鈴木さんが担当。
各演目は「出演、脚本家、演出」をサラリーマンチュウニの劇団員が中心となってそれぞれ別の人が担当されていました。

また基本的に自分が演出や脚本を担当した演目には出演をしない。という面白いシステムも採用していました。

こうすることによって、演出側の人間は自分の意図を演者にうまく伝えるコツを掴み演出家としてのスキルが養えます。
逆に出演側の人間は演出側の意図を汲み取って表現するという、役者としてのスキルが養えます。

最近では大手企業でも、一定期間あえて違う部署を経験する「ジョブローテーション」というシステムを採用し、社内のさまざまな仕事ができる「マルチスキル」をもつ社員の育成をに力を入れるところが多くなっています。

演劇においてもマルチスキルを育てていく。こういった発想は現役で会社員をされている鈴木さんならではですね!

続けるためにどうするか? を考える。食えない役者はもう古い

「貧乏役者」という言葉があるように、僕の役者という職業のイメージは、夢に向かって突き進むという印象が強いのですが、果たして花開かなかった役者はどのような末路を辿るのか……。

考えればわかるかと思いますが、やはり「夢を諦める」という選択肢を取ることになってしまうのでしょう。

そうなってしまっては、業界全体は盛り上がりませんし、レベルもアップしていきません。

しかし芸能界を見回してみると、俳優という職業では幅広い年齢の方が活躍されています。

そう考えると、役者は息の長い職業にカテゴライズされるはずですが、若くして夢を諦める人が多いのも事実なのです。

そこで鈴木さんが考えたのが、「長く続けられる体制」でした。

鈴木さん自身はもともとアルバイトをしながら劇団の活動に励む「専業役者」だったこともあり、公演をするのに必要な時間や作業量や予算などに関して知見がありました。まずは冷静にそれらを分析したところ、行き着いた結論が「正社員でも役者はできる」というものでした。

お金の問題が解決すれば、生活が安定するので、役者にもより専念できるようになるという考えを元に立ち上げた劇団が、このサラリーマンチュウニという劇団です。

仕事帰りにスーツ姿のまま稽古場に赴くことも

まさに、システマティックに考えられた運用をする劇団サラリーマンチュウニ。

後編の記事では、劇場公演をプロジェクトとして捉え、ある意味社会人だからこそ成立しているサラリーマンチュウニの運営方法にスポットを当ててご紹介します。以下からどうぞ!!

公演はプロジェクト! 本業のスキル活用する劇団「サラリーマンチュウニ」

 

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