営業職はすでに俳優!? サラリーマンと演劇の相性とは?

毎日満員電車に揺られながら通勤し、時には夜遅くまでの残業を強いられることもあるサラリーマン。
夢と情熱を抱えて、毎日稽古に励むもののなかなか目が出ず、貧相な暮らしに耐えながら明日のスターを夢見る役者。

こんにちは。サイドラインズのOOXです。

突然ですが、冒頭に「サラリーマン」と「役者」について、僕の勝手なイメージを書いてみました。
しかしサイドラインズの読者の方々も、少なからずこの2つの職業に対して同じようなイメージをお持ちではないでしょうか?しかも、
どちらもとても忙しい毎日を送っているようなイメージが強いです。

文字通りお金を稼ぐためのサラリーマンと、どちらかと言うとお金よりやりがいを求める役者。なんとなく相反するイメージが強いのですが、今回ご紹介する伊集院さんは、この2つを見事に両立しています。

前編はこちら

サラリーマンでも輝ける! 34歳で演劇デビューした男の話

後編では、役者とサラリーマンを並行することのメリットや共通点についてレポートします。

役は仕事に引きずらない! サラリーマン俳優の心得

謎の小道具?を持つ、伊集院さん

趣味が高じて役者デビューをした伊集院さん。何度もしつこいようですが、普段はサラリーマンとして、毎日会社に通っています。

僕に限らず誰でも経験があると思いますが、何かに一旦のめり込んでしまうと、仕事中も移動中も頭の中は好きなことでいっぱいになってしまいませんか?

伊集院さんも演劇にハマってしまって以降は、毎日公演や稽古、台本のことで頭がいっぱいだったそうです。

そんな状況を打破するために伊集院さんが編み出したマイルールがこちら。

「平日は営業に徹する」

これだけ聞くとものすごく勤勉なサラリーマン像を想像してしまうのですが、決して通勤時に本業の営業をしているわけではないそうです。

通勤時間は、公演の案内を友人や知人に送ったり、劇団のSNSやブログを更新したりと、「劇団の営業活動」のみに専念することをマイルールとしているのだとか。

稽古場や舞台の上では役者に徹し、平日はモードを変えて劇団の裏方作業に徹する。そうすることで、自然に頭が「仕事モード」になり、本業にも良い効果がでるそうです。

役者は与えられた役になりきることがとても重要です。しかし、あくまで普段はサラリーマンである伊集院さん。

いくら公演が近くても、会社にまでその役を引きずってしまったら、間違いなく周りも驚きますし、仕事にも悪影響が出るでしょう。

しかも劇団での伊集院さんの役はちょっと変わったものが多いのです。

ちなみに下の写真は、伊集院さんがこれまで演じて中で一番のお気に入りのキャラクターの「ペッパーさん」。

人型ロボットの「Pep●erくん」に似ているような似ていないような感じですが、全く違う生き物? だそうです。

ペッパーさん(第10回公演 夢にかける保険はありますか)

いきなり会社にペッパーさんが出社してきたらどのようなリアクションをしていいのか……。

困りますよね(笑)

普段から一風変わったキャラクターを演じているからこそ、気持ちの切り替えが大切で、そのためのルールを自ら設定することで、いい意味で演劇を引きずらずに両立が可能になるんですね。

演劇のハードルは高くない

 

34歳で本格的に演劇の道に足を踏み入れた伊集院さんは、それから5年経った今でも舞台俳優を続けています。

今回の取材のきっかけも、伊集院さんが出演される舞台の観覧に誘われたことでした。

舞台俳優は、リアルタイムで自分の演技を披露するまさに一発勝負の世界。

なんともハードルが高そうな活動ですが伊集院さん曰く、「誰でも気軽に始められる活動」だそうです。

それはなぜでしょう?

その答えはとても簡単で、普段から人と接する仕事をしていれば、少なからずそこに演技の要素があるからです。

営業職や接客業をしている人であればわかると思いますが、仕事中は100%「素」の自分は出せないはずです。

僕もライターを始める前は、飲食店の接客やテレフォンオペレーターなど、さまざまな接客業を経験したのですが、自身の経験を振り返ると、およそ60%くらい演技だったような気がします……。

なるほど。そう考えると、やれそうな気がしてきました。

しかもそれだけではなく、役者を経験することで本業にも良い影響が出るのだそうです。

公演で役者としてさまざまな役柄を経験することで、仕事や普段の生活でも程よい演技ができるようになるそうです。さらには、「接客相手に合った役柄になりきる」ということも、無理にではなく、むしろ楽しんでできるのだとか。

その結果、営業や接客でも良い評価がもらえる人も多くいるそうです。

なるほど。そう考えると演技を身に付けると、仕事の幅も広がりそうですね。

心も身体も健康に。 演劇から得られるメリット

演劇に挑戦するメリットは、演技という側面だけではなく他にもあります。

役者は想像以上に体力勝負なので、さらに複業としてやるとなると、人並み以上の体力が必要となります。

そのため、稽古の際は必ず基礎体力作りも行います。

基礎体力も演劇に重要な要素

発声練習や筋トレ、さらにはストレッチまで。

舞台の上とはいえ、時には激しく動き、全身を使って身振り手振りで役柄を表現する。稽古中はその役になりきっているわけですから、普段の自分がやらないような動きをすることもあるのだとか。それ故に、稽古中に怪我をすることも少なくないそうです。

ストレッチの必要性も納得がいきいますね。

普段と違う自分になって、体も大いに使い、適度に運動をする。

あれ? これってビジネス書に書いてあるストレス解消法と一致してますね。

一見大変そうですが意外と目に見えないメリットが多い役者という活動。こうやって実際に活動している人の話を聞くと、やってみようかな?とか、自分でもできるかも?と思ってしまうから不思議です。

「役者を始めてみてよかった! と思えることがとても多いので、ぜひいろんな人に広めたい。」と語る伊集院さん。

演技の魅力を伝えるために、劇団サラリーマンチュウニとして、劇場公演だけでなく「ワークショップ」も開催しているそうです。

やって終わりではなく、大切なのは魅力を発信して仲間を増やすこと

演劇のワークショップとは一体どんなことをするのでしょうか?

以下は、サラリーマンチュウニのHPからの引用です。

【ワークショップ プログラムの例】
1.準備+自己紹介
⇒まずは、運動出来る格好に着替えてもらい、軽く自己紹介をします。
2.ストレッチ
⇒全身のストレッチを行い、怪我のしにくい、疲れにくい体を作ります。
3.筋トレ
⇒速筋ではなく、遅筋(インナーマッスル)を鍛える。
4.発声
⇒呼吸法から、声出しを実施。響く声というのは感じてもらうのが目的です。
5.滑舌
⇒口の動きが滑らかになるように、滑舌の練習を実施します。聞き取りやすい話し方を身に付けるのが目的です。
6.名前鬼
⇒体を動かしながら、相手の名前を覚えるゲームです。
7.リズムゲーム
⇒リズム感を養うゲームです。
8.カウントアップ
⇒空気を読む力を養うゲームです。
9.一枚の写真
⇒みんなで一枚の絵を作ります。空間認識、想像力を鍛える稽古です。
10.トランプエチュード
⇒自分の中の引き出しの開け方と使い方を鍛える稽古です。
11.スリーワードエチュード
⇒想像力を養う為の稽古です。

引用元:サラリーマンチュウニ公式HP

台本や配役がなくても、気軽に役者体験ができる内容になっているそうなので、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか?

興味を持ったら、自分で実際に体験して、そこで得た経験や知識をわかり役発信して仲間を増やす。

このサイクルは、コミュニティを作るという点においてとても重要です。

劇団もそうですが、仕事も1人でできることには限界があります。とは言え、自分の考えや想いをしっかりとまとめて相手に伝えるいう作業はとても難しいのです。

ならばいっそ、同じ志を持った仲間が集まる輪に身を置いてみることも、新しい何かを始めるきっかけとしてはピッタリですね。

伊集院さんにとっては、それが劇団というコミュニティだったのでしょう。

「気になったらぜひ劇場に来てください!」

という伊集院さんの熱意を受けて、僕も実際にサラリーマンチュウニの最新公演を拝見してきました。この伊集院さんの記事の中でも頻繁に出てきた「サラリーマンチュウニ」という劇団。一体どんな集団なのでしょうか?

名前だけでもだいぶ興味をそそられますが、実は劇団員が全員役者以外の本業を持っている珍しい劇団なのです。

次回の記事では、まさにサイドラインズのコンセプトにぴったりの活動をされている劇団「サラリーマンチュウニ」の活動についてレポートします。

前編:サラリーマンでも芝居はできる! 劇団サラリーマンチュウニの世界へようこそ

後編:公演はプロジェクト! 本業のスキル活用する劇団「サラリーマンチュウニ」

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