好きなことを副業として続けた結果、僕はクラブのオーナーになりました

クラブでフロアを盛り上げるDJ。そのプレイにや曲のチョイスに魅了され、思わず体を揺らすオーディエンス。

そんな最高の空間を生み出すために不可欠な存在である「イベントオーガナイザー」と言う職業。

イベントを成功させるために裏方に徹して、昼夜問わず活動を続け、時には苦情の対応や仲間内の騒動の仲裁など、いわゆる嫌なこともしなければならない、本当に大変だけど大切な存在です。

今回も前編に引き続き、クラブが1軒もなかった静岡県で、「クラブで遊ぶ」という文化を文字通りゼロから作り上げた、DJ 「U-1」さんをご紹介します。

物事を生み出すパイオニアならではの苦悩や葛藤のみならず、醍醐味や旨味なども余すところなく(聞ける範囲で)お伝えしますよ!

 

貯金をはたいて全額投資! クラブオーナーになるための決断と苦労話

前編で紹介したU-1さんの地元、静岡県富士市で新たにオープンしたクラブで、オーガナイザーとして活躍していたU-1さん。

イベントの評判も上々で、県内県外問わず、さまざまなイベントとのコラボやゲストDJの招聘など精力的に活動していました。

当時ギャル系女子の間で大ブームとなっていた「トランス」という音楽ジャンルにも積極的にチャレンジし、静岡県最大のクラブイベントとしての知名度も獲得し、まさに絶好調だったのですが……。

なんとその富士のクラブはわずか2年で幕を閉じることになりました。

原因は近隣からの苦情。

今ではU-1さんの口癖にもなっている

「クラブを経営して大きな音を出す以上、近隣の方々への配慮や理解は何より重要」

と言う事実を身をもって知ることとなります。

自分のホームグラウンドを突然奪われてしまったU-1さんは活動の場を広げ、静岡県全域や神奈川県にあるクラブまで。

場所を問わずイベントをオーガナイズする、「フリーオーガナイザー」として活動することを余儀なくされました。

オーガナイザーの多くは自分のホームグラウンドと呼ばれる会場を持ち、そこのスタッフや経営者と共に協力をしながらイベントを主催するのが基本スタイル。

しかし、U-1さんはあえてホームグラウンドを持たずに活動し続けることを決意します。

もちろん、それはいばらの道。

今のようにSNSでの情報発信が当たり前でなかった当時は、イベントのフライヤー(チラシ)を大量に印刷して自らの足で配り歩き、友人に連絡を取って協力してもらうなど、これまで以上に地味な努力が必要とされる環境でした。

それでも毎日地道に活動を続け、もちろん会社員もしっかりと続けていたU-1さん。

その甲斐あって、U-1さんのイベントは、最大で300人以上集客できるビックイベントに成長。イベントの収益も順調に伸びて、本業の会社員の収入を超え、絶頂時には、月80万円以上の収益を得れる程となりました。

しかし時代の流れとともに、クラブの文化が下火に。

バンドもそうですが、やはり「ブーム」というものは必ずあります。

音楽が好きな人やイベントが好きな人はいつの時代も必ずいますが、それだけではイベントは成立しません。

音楽イベントとは、
「普段からそこまで音楽には触れてないけど、おもしろそうだし、流行ってるから行ってみたい」
という、いわゆる一般のお客さんをどれだけ動員できるかが、収益に直結する厳しい世界なのです。

動員が少なくなると、やはり問題となるのは「お金」。

イベントを開催するためには、必ず会場となるクラブ側にホールレンタル料金を支払う必要があります。

そうなると動員が見込めないイベントは、おのずと開催できなくなってしまいます。

当時フリーのイベントオーガナイザーとして自身は成功していたU-1さんですが、「次の世代を育てる」ということも、自然と考えるようになっていました。

しかし残念ながらその時は「成功するかしないかわからない新規のイベント」を実施できるような環境でもなく「赤字になってもいいからやってみよう」という心意気の若いオーガナイザーも見当たりません。

そこで思い至ったのが、兼ねてからの夢であった、自分のクラブを持つこと。

「自分のクラブなら、自らの裁量でホールレンタル料金も決められるし、イベントをやってみようと思っている若いオーガナイザーの背中を、精神的にも金銭的にも押してあげられる」

そう考えたU-1さん。一念発起してからのアクションは素早く、これまでコツコツ貯めていた貯金と、イベントで蓄えた収益をはたいて、地元富士市にあった「CLUB POWER」を買取り、改装して新たにオープンしました。

クラブオーナー×会社員。サラリーマンオーナー誕生!

「CLUB POWER」の経営を開始したものの、会社員は継続していたU-1さんは、結果として新たな経営スタイルに行き着きます。

それは、
「自分は現場で働かずにアルバイトに任せ、積極的にイベントの会場でお客さんと交流をする。」
というスタイル。

一見、「ただ遊びたいだけの人」と思えなくもないですが……。

逆にこれが功を奏し、
「自分もイベントを主催してみたい!」
という、新米オーガナイザーの発掘につながります。

新たなオーガナイザーをたくさん生み出し、イベントを企画してもらい、自分のお店を活性化させる。

そして、自らは裏方に徹して、オーガナイザーをサポートし、イベント当日はお客さん目線で楽しみ反省し改善する。

このサイクルがうまく回り「CLUB POWER」の経営は順調に。

1つのことが成功すると、次なる野望が生まれてしまう性格のU-1さん。

なんと「CLUB POWER」をスタッフに譲渡し、次なる店舗展開を目論見ます。

「イイ音」を求めて機材を購入。気づけばとんでもないことに!

遊び場の少ないところにクラブを作って、それをスタッフに譲渡し、また次のお店を始める。

求めらている場所に遊び場を作り、地域を活性化させるスタイルは、ビジネスの枠を超えて、もはや社会貢献なのでは? と思ってしまうくらい、壮大ですよね……。

そんなU-1さんが最近まで注力していた地域は、地元富士市のお隣の富士宮市。

B級グルメの「富士宮焼きそば」が有名な富士山麓の街です。

AERAから臨む明け方の富士山。こんなに大きな富士山が見えるクラブは日本でここだけ!?

そんな富士宮市に、日本一? 富士山に近いクラブ「AERA」をオープンしたタイミングで、会社員生活にもピリオドを打ちます。

ボーリング場の隣にあるので、騒音などの心配も少なく、100台分の駐車場も隣接されています。比較的広くて大きな店舗なので、収容人数にも余裕があり、地元富士宮市の音楽ファンからは、クラブとしてもライブハウスとしても親しまれています。

富士宮 AERAのFacebookページ

現在U-1さんはそのAERAを拠点として、自らイベントを主催したり、富士宮のイベントオーガナイザーをサポートしたりしています。

そして、何より力を入れた(入れてしまった)のが、音響機材!

クラブはその煌びやかな内装や照明も重要ですが、やはり音を楽しみに来る場所なので、音響機材はキモです。

自身も引き続きDJとして活躍しているU-1さんにとって、音響機材は何よりこだわりたい部分。ついには、自身のクラブであるAERAに、FUNKTION-ONE(ファンクションワン)という音響機材を導入します。

このFUNKTION-ONEがどれだけすごい機材か簡単に説明すると、都内でこの機材を使用しているクラブやライブハウスはほんの数か所で、そのどれもに大手企業がスポンサーとして出資しています。その他では、有名な野外フェスや大型野外レイブなど……。

僕もこのFUNKTION-ONEを個人で所有している人には、初めてお目にかかりました。

U-1さんの音楽への情熱は留まるところを知りません。

イベントプロデューサーとプレイヤーの共通点と相違点

最後に、U-1さんにこれからクラブオーナーやイベントオーガナイザー、DJを目指す人のために、それぞれの親和性や共通点、相違点などを伺いました。

まずは親和性と共通点。

DJは個人活動なので、プロモート(宣伝)が重要。いろんなクラブやイベントでプレイするのはもちろんだけど、基幹となるイベントオーガナイザーの兼務した方が良いそうです。

自分がプロデュースするイベントを持つことで、DJネームと一緒にイベントの名前も宣伝することもできます。

イベントのチラシやホームページなどを良く見てみると、

「DJ U-1 (PIPELINE)」

といった感じの表記を見かけると思いますが、まさに(◯◯)というのがそれにあたります。

こんな感じにDJネームの横にイベント名が記載される場合も

イベントを主催することで、他のDJとの繋がりも作りやすく、イベントのお客さんとの交流もしやすくなり、自分の名前も覚えてもらいやすくなるそうですよ。

逆にクラブオーナーとDJの兼務はあまりオススメできないそうです。

理由はとても単純明快で、

「自分の経営するクラブで開催するイベントが心から楽しめなくなるから。」

だそうです。

エンターテイメント業界は、文字通り楽しみを提供する側と享受する側がいてこそ成り立つもの。

いくら経験豊富でも、その両方の醍醐味を一度に味わうことは難しいようです。

「これからも近所の遊び場感覚で、クラブのない地区や夜の活気がない街にクラブを次々にオープンして、静岡を盛り上げたい。」

と意気込むU-1さん。

今後も彼の活躍から目が離せません。

U-1さんの人柄が伝わる素敵なブログは

こちらから↓↓

U-1のブログ

クラブシーンへの想いや音楽のことなどが綴られています。

 

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