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富士山の麓で育ったフツーの女の子が「複業女子」になるまで【畑とミシン編】

富士山の麓で育ったフツーの女の子が「複業女子」になるまで【畑とミシン編】

「服飾デザイナー」を夢見た少女は、高校卒業後、美容師になりました。そして、人間関係に悩み、美容師を辞め、ギターと出合い、歌を作りました。自分の歌をより深く表現するために、彼女は照明の世界へ足を踏み入れました。>>詳しくはこちら

……いや、濃い。ものすごく濃い人生を送っていますよ、平野さん。平野さんご自身が「さら〜」っと話してくださるので流しそうになってしまいますが、濃いです。その上、まだまだエピソードが出てくるのだから、びっくりです。

前編の最後で畑を継ぐことになった平野さん。まだ、「ミシンガー ライティング ファーマー」の由来も謎のまま。歌は、照明の仕事はどうなるのでしょう? 服飾デザイナーの夢は? 複業女子のさらなる秘密に迫ります。

おじいちゃんの畑を引き継ぐために農業を学ぶ

畑の画像
お祖父さまから引き継いだ畑の現在

お祖父さまが亡くなった時、本来、畑を引き継ぐはずのお父さまも既に亡くなっていました。そのため、平野さんがお祖父さまの畑を引き継ぐことになったのだそうです。

美容師、ギター、歌、照明と来て、次は畑……。なんとも波瀾万丈な人生なのでしょう。

たくの
畑を継ぐと決まってから、その後はどうしたんですか? そんな急に、作物を作れたりするものなんですか?
平野さん
当時、派遣社員として働いていたんですけど辞めて、農家に就職しました
たくの
農家に就職!?
平野さん
畑の知識を手に入れたくて

そりゃ、そうです。農業未経験者が簡単に畑を作るなんて、いくらなんでも難しいわけで。……そうはいっても、スパッと農家に就職しようと決断できる平野さん、相変わらずすごい行動力です。

たくの
畑の知識というと、具体的にどのようなことを学ぶものなんですか?
平野さん
いわゆる“日本が勧める農業”を学びました
たくの
“日本が勧める農業”?
平野さん
なぜ、農薬や肥料を使うのか、ということです
たくの
なるほど

確かに、世間的に「農薬=良くないもの」「無農薬=良いもの」なイメージはあります。しかし、「農薬や肥料を使う意味」みたいなことは、あまり聞いたことがないかもしれません。

たくの
そうですよね、必要がなければ農薬や肥料は使わなくても良いわけですもんね
平野さん
農薬や肥料を使うのは、生産性を上げるためなんだそうです
たくの
生産性を上げる?
平野さん
無農薬だと虫が付いたり、病気になりやすかったり。生産量も、無農薬よりも農薬を使った方が高いんですよ
たくの
へー
平野さん
人は、病気になったら病院で薬をもらいますよね。それと同じことなんです

なるほど! 人間も悪いところを治すために薬を飲むし、栄養補給のためにサプリや栄養ドリンクを飲む。作物だって、同じなんですね。一概に、農薬と肥料は悪いものというわけではなさそうです。

たくの
じゃあ、平野さんの畑では農薬を使っているんですか?
平野さん
いや、使ってないです

あ、そこは使わないのですね(汗)。

たくの
農家では、どれくらい働いたのですか?
平野さん
1年とちょっとくらいですかね
たくの
農家での修行(?)を終えて、すぐに作物を作り始めたんですね?
平野さん
いえ、まずは土から作り始めました

つ、つち、だと!? やはり、一筋縄ではいかない平野さんなのです。

草を抜いて、畝を掘って……土から始める畑づくり

畑の画像2
畑づくりは土から始める。
たくの
土?
平野さん
はい
たくの
どうやって?
平野さん
まず、1人で草を引っこ抜いて
たくの
へ!? 畑は、どれくらいの広さなんですか?
平野さん
だいたい、200坪くらい?

その広さの畑づくりを、たった1人で草を抜くところから始めるとは……。

平野さん
草を抜くのもそうですし、私が作りたかったのは“循環していく畑”。だから野菜たちのお家、「畝」っていうんですけど。それを作るために、60センチくらいの深さの穴を掘って。祖父が亡くなってからそのままになっていた畑の草を刈って、掘った穴に埋めて土をかぶせて畝を作りました。埋めた草はやがて肥料になります
たくの
すごい……
平野さん
その後、根っこの性質が違うイネ科とマメ科の草の種を蒔き、草を生やすんです。そして生えた草を刈って畝に引き、草マルチを作ります。そこはミミズや虫の住みかとなり、土を作ってくれるんです。それを3年くらい続けました

こんなに丁寧に作られた土で育った作物は、美味しいに違いありません。

たくの
具体的に、どんな作物を作っているのですか?
平野さん
ビーツとか、落花生とか……。あとはお芋ですね

ああ、もう聞いているだけで食べたいです。

畑主体で生きるために「ミシン」を収入源に

タイパンツ画像
平野さんが作ったタイパンツ

お祖父さまから引き継いだ畑を、手間暇かけて一から育て直した平野さん。畑を作っている間、どのようにして収入源を確保していたのでしょうか。

平野さん
畑主体で生きていくために、何か仕事をしなきゃと思ったんです
たくの
ですよね、無収入ってわけにもいきませんもんね
平野さん
それで、自分に何ができるかなーって考えた時に、「ミシンだ!」って思ったんです!
たくの
あ、ここで!?

子どもの頃に夢中だった「ミシンで縫い物」が出てくるんですね!

平野さん
得意分野を攻めた方が良いなと思ったんです
たくの
それで、服飾デザイナーを?
平野さん
いえ、服をお直しする仕事ができる会社に就職しました
たくの
へー
平野さん
服を破いてしまっても、ただ捨てるのではなくお直しをして復活させる。「ものを大切にしたい」という気持ちが強かったんです。それに、誰かの服をお直しすることは、人に必要とされるお仕事だとも思うので

うん、私みたいに裁縫が苦手な人間からすると、平野さんみたいな人がいてくれるだけで本当にありがたいです。

平野さん
だから、今はミシンを本職として収入を得ている状態ですね

形は違えども、幼い頃に抱いた「服飾デザイナー」の夢を叶えてしまったようなものですよね。

ミシン、歌、光、畑。どれも「私」をつくるもの

イベントチラシ画像
平野さんが参加したイベント「おととひかりのじかん」
たくの
これまでの話をまとめると、平野さんはミシン、歌、照明、畑の4つを軸として、今を生きているわけですよね
平野さん
そうですね。どれも欠けたら、私ではなくなってしまいますね。どれも、「私」です

最初、平野さんの肩書きが「ミシンガー ライティング ファーマー」と伺った時、「どういうこと?」と疑問を感じた宅野。お話を聞いて、謎が解けました。

    • ミシン……服飾
    • シンガー……歌
    • ライティング……照明
    • ファーマー……畑

平野さんを作る4つの軸が全て詰まった、ステキな肩書きじゃあないですか!
こんな肩書きを得られたのも、平野さんがやりたいこと、好きなこと、得意なことに対してきちんと向き合ってきたから。そして、すぐに行動に移してチャンスをしっかりと掴んできたから。全力で取り組んできたら。私、見習わないと!

平野さん
これから、自分の畑を子どもたちと一緒に楽しめる場所にしたいんです。お母さんたちがお仕事をしている間、子どもたちに畑を手伝ってもらう。そんな場にできたら良いですね

うん、平野さんなら必ず実現できると思います。ミシンガー ライティング ファーマー・平野有紀の挑戦は止まらない!

ライターについて

ライター宅野美穂
東京都生まれ。宣伝会議 編集・ライター養成講座32期受講。都内を中心にライターとして活動中。

主な執筆ジャンルはグルメ、インテリア、ファッション系などさまざま。趣味は読書と音楽鑑賞。ポルノグラフィティと推理小説があれば生きていける30代。

飲食関連の仕事に関わったことがきっかけで興味がわき、今は料理や食材について勉強中。よろしくお願いいたします。

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