独立か専業か? 非公認の副業6年を経て叶えた白黒つけないスタートアップ

こんにちは! SIDELINESのMyoon(ミュン)です。

好奇心をくすぐる紙巻オルゴールを開発、発表している杉山三さん。

前編では紙巻オルゴール事業に取り組む理由や、その意気込みについて伺いました。

社会接続を最大化せよ! 副業の「紙巻オルゴール」が名刺代わりになった話

後編では、会社の業務と個人事業を両立している杉山さんに、現代の起業について思うことを語っていただきました。

 

Contents

会社には業績をコミット、副業も全力でやる

 

2017年初旬までIT系総合商社の正社員として勤務していた杉山さん。

今では会社とは業務委託契約に切り替え、会社の業務を全うしながら、個人事業にも打ち込む日々です。

2018年4月現在、会社から請け負っている業務は、3Dプリント事業にまつわる営業送客が主ですが、その勤務環境が特殊です。

都内のとあるモノ作りスペースで個人事業であるオルゴールの作業に集中、会社から呼ばれたら隣接のビルに駆けつけて会社の仕事をするという風に、狭い範囲内を行き来しながら仕事をしているのです。

会社からは勤務時間を定められていないので、時間配分は杉山さんの自由ですが、会社の業務で急な対応を求められることもあり、この環境には助かっているのだとか。

Photo by 田中由起子

筆者のようなライター業務なら完全在宅でもできますが、モノ作りは作業環境がないと出来ないもの。

効率がいいやり方ですね!

 

会社からの報酬はKPI(重要業績評価指標)をコミットし、一定期間の契約で決めています。

 

基本的な考え方として、会社から給料をもらっている以上、トップ・プライオリティは会社。ですが、プロと渡り合えるよう、オルゴール事業にも全力で取り組む姿勢です。

 

会社非公認で6年間両立したオルゴールの副業で感じたジレンマ

 

現在のように自身の事業と会社の仕事を両立したパラレルワークスタイルを築くまでには、6年間の副業期間を経ました。

勤める会社では基本的には副業を認めていないため、非公認で取り組んできたのです。

 

その6年間は、スケジュール的にも精神的にも多くのジレンマがありました。

まず、オルゴール事業に携わっていると、笑顔になって喜んでくれる人が多いにも関わらず、会社では認められません。また、会社の業務が終わって帰宅し、0時からオルゴールの作業に取り組む厳しいスケジュール。求めてくれる人がいるのに、どうしても日中は時間の都合をつけられない。そんな日々が続きます。Photo by大森文暁

「社会的には明るいニュースを提供していて会社には伏せていないといけない。

そんな状態に消化不良な気持ちを抱えていた杉山さんは、業務委託契約を切り出すという選択をし、現在のスタイルに行き着きました。

 

一人で高い山を登るようなスタートアップは、もう古いかも?

 

杉山さんが収入の柱となる会社の仕事を維持しながら個人事業に取り組もうと考えたのは、20代前半での「失敗」が影響しています。

 

実は杉山さんが自分のしたいことに向かって踏み出すのは2度目です。

卒業後、新卒社会人として印刷会社に勤めた杉山さん。営業と貿易実務を担当していましたが、かねてから興味を持っていたファッションの業界に進むことを決意し、会社を退職したのです。

退職してからはデザインの勉強に取り組みましたが、予想以上にレベルの高いデザインやパターンの授業に、当時はついて行けませんでした。ファッション業界の勉強をした経験を生かして繊維商社に転職することができましたが、大きな挫折感を味わいました。

「あいつは芸術の世界を生き抜くんだ。あいつは高い山に登るんだぜ。当時はそんな風潮でした。でも、崖っぷちに立たされるような起業は自分には合っていなかったと思っています。色々なことを始めるにあたって、それにかかるリスクとコストが低減している時代です。個人で取れる分だけのリスクを取って、寄りかかりながらのスタートップも有りじゃないでしょうか。」


会社への成果は成果としてきちんと納めて、残りの時間は非効率であっても個人としてやりたいことに真剣に取り組む。

専業か副業かと白黒つけるのは、もう時代遅れなのかもしれませんね。

 

個人として、組織の一員として、考え方の経路を2通り持っておくことが役に立つ

 

会社の組織員と個人事業を両立することは、収入面以外でもメリットがあると杉山さんは語ります。

例えば個人として直近1年間に取り組んだのは、大口受注をさばける生産体制の構築。中国や日本の津々浦々を訪ねて、生産背景組立、検品、梱包工場のラインを確保する活動に奔走。メーカーとしての実力をつけました。

ここで役立ったのは、言うまでもなく商社マンとしての経験です。

商社としてモノを回すだけではなく、自分でモノを作りたいと思って始めたオルゴール事業でしたが、会社で経験した商社業務が、巡り巡って今に活きています。

 

また、個人で始めた事業が成長するにつれて、半ば「こなす」ような受動的な仕事も増えました。個人ですべて引き受けて継続してみて初めて、会社が業務を割り振る「こなし方」が、いかによくできているかが分かるようになったのです。

会社から与えられる受動的な仕事へのフラストレーションから始めた個人事業でも、事業が大きくなってくると、やはり受動的な仕事を伴うのですね。

 

今では、情熱を持って始めた仕事も、生きるために従事する仕事も、人として目指すところはどこかで合わさるはずだと考えています。

Photo by 田中由起子

「副業も生業も、社会につながる道という意味では同じです。どちらも大事にしたいですね。」と杉山さん。

 

 

自発的な仕事にも組織的な仕事にも全力で取り組めば、その双方から学び、双方に生かすことができるんですね。

 

杉山さんをインタビューして素敵だと感じたのは、自分を過信せず、過小評価もしない。自身をよく知った上で、最適なワークスタイルを築いている点です。

これからの起業の在り方として、専業か副業か白黒つけないスタートアップは、とても自然なのではないでしょうか。

 

杉山さんの作品などはこちらでご覧いただけます。

・杉山三さんFacebookページ⇒ https://www.facebook.com/trois.trois.trois.3/

・公式サイト「trois(paper tunes)」⇒ http://trois.main.jp/

 

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